「中国の船がベトナム船に偽装することは可能なので、彼らが報告書で言及したすべての船がベトナムの船であることは疑わしい。仮にベトナムの船舶が漁船を装って特別な任務のために中国の海域に出没したと仮定しても、これは中国が以前、漁船を使って南シナ海で他国の軍事情報を収集してきたことを真似たもので、どっちもどっちだ」
中国と東南アジア諸国は南シナ海の島々の領有をめぐって激しく対立しており、1988年3月、南沙諸島(スプラトリー諸島)のジョンソン南礁(赤瓜礁)において両国の海軍が衝突し、中国軍が勝利。その後も、両国の領有権争いは尾を引いている。
また、米国も南シナ海の島々に中国が軍事基地を建設していることに激しく反発しているが、このところ米国はベトナムに急接近しており、米空母「セオドア・ルーズベルト」が3月5日、ベトナムの南中部沿岸地方ダナン市のティエンサ港に寄港している。1975年のベトナム戦争終結後、米空母がベトナムに寄港するのは、2018年3月の「カール・ヴィンソン」に次いで2隻目となる。
「中国の南シナ海戦略調査研究所の報告書がベトナム側のスパイ行為を指摘するのは、中国が米国とベトナムの軍事的関係の深まりに強い警戒感を抱いている表れとみることができる」と前出のサウス紙は指摘している。