欠席者は2月1日に「桜蔭」や「女子学院」といった私立の女子校を本命にし、翌日の発表で合格をつかんだケースと推測される。辞退者は2月3日の公立中高一貫校の試験日の時点では私立中学の合否が分からず受検したけれど、その後合格が決まり、辞退したということだろう。
他県で欠席者の多い学校を調べてみると、2桁は男子では「神奈川県立相模原」が16名、「千葉市立稲毛高校附属」が13名、「横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校附属」が12名、「神奈川県立平塚」が10名となっている。
一方女子では「横浜市立南高校附属」が31名と多く、次いで「神奈川県立相模原」が28名、「神奈川県立平塚」が18名、「千葉市立稲毛高校附属」が12名、「横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校附属」が10名と、やはり特定の学校が多いことがわかる。都内・3県に共通していることは、女子のほうが私立中学に抜けているということだ。
スタート時と異なり、今は公立中高一貫校でもレベルの高いところほど難関私立中学と併願している受験生が多くなっている。
一方、私立中学側も、公立中高一貫校は倍率が5~6倍となり、不合格者になるほうが圧倒的に多いので、「適性検査」に向けた勉強でも受けられる「適性検査型入試」を設定するところが年々増えているのである。
中には「うちの適性検査型入試は○○中等教育学校、××高校附属を意識して作問をしています」と謳っているケースもある。そのほか入学金や授業料免除の特待生を出すケースもよく見られる。そうした背景から、スタート時の「落ちたら地元の公立中学に」というパターンは今や少数派である。
◆優れた教育内容は「私立並み」に
ここまで数字的なものばかりを取り上げてきたが、公立中高一貫校の魅力はむしろ教育内容にある。公立中高一貫校同士は全国的に交流し、かなり研究し合い、競い合っている。
ここでは詳しい内容には触れないが、例えばふつうの公立中学ではまずない海外研修の機会がある学校が公立中高一貫校には多数ある。中にはシリコンバレー研修といった時代の先端的な場所に連れていく学校まである。
そのほか、大学との連携、フィールドワークをともなう探究型学習、ネイティブによる英語教育、卒業論文の作成・発表……など、私立中高一貫校が取り入れていることの多くをいまや同様に実施しているのだ。