◆女子の応募者が増えている理由
公立中高一貫校の適性検査は、長い文章の読解、長文記述があるので、応募者は女子のほうが多くなることが一般的だ。が、「都立小石川中等教育」、「都立武蔵高校附属」、「県立千葉」、「県立東葛飾」といった難しいとされる学校はこれまで男子のほうが多かった。
ところが今年はことごとく女子のほうが多くなり、男子のほうが多いのは、理数教育に特化している学校の性格から「横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校附属」のみになった。
2020年度入試では男子が増えた学校は21校中(「川崎市立川崎高校附属」は男女合計数しか公表していない)4校しかない。一方女子は9校で増加している。近年の教育では読解力、記述力がより求められるようになっているにもかかわらず、男子はこうしたものに対する苦手意識が強いようである。
◆女子が70名も離脱した公立中高一貫校も
公立中高一貫校のスタート時は、落ちたら地元の公立中学に進学する人が多かったが、2年、3年と塾に通って準備をして受けると、それを無駄にしたくないということで私立中学も併願する人が増えてきている。逆に、私立中学を本命として勉強してきたが公立中高一貫校も受けるケースもある。「都立小石川中等教育」などは入学者の8割以上が私立中学を受けている。
東京都教育委員会は、都立10校について〈試験当日の欠席者数〉や〈合格発表後の辞退者数〉を公表しているので、それを見てみると、欠席者数は男子・女子とも前年より減っている(男子197名→164名、女子255名→223名)。辞退者数は男子44名→39名、女子38名→51名と、女子で増えている。
実はこれは特定の学校に集中していて、欠席者の男子164名中31名が「都立小石川中等教育」、20名が「都立白鴎高校附属」と「都立両国高校附属」の応募者であり、女子の223名中50名が「都立小石川中等教育」、27名が「都立桜修館中等教育」、26名が「都立白鴎高校附属」、20名が「都立両国高校附属」となっている。
辞退者も、男子39名中8名が「都立小石川中等教育」、7名が「都立桜修館中等教育」、6名が「都立武蔵高校附属」であり、女子の51名中20名が「都立小石川中等教育」、6名が「都立三鷹中等教育」、5名が「都立白鴎高校附属」、「都立大泉高校附属」、「都立武蔵高校附属」となっている。
つまり、区部の学校ほど私立中学との併願者が多いことの表れだ。中でも「都立小石川中等教育」の女子は欠席が50名、辞退が20名とダントツである。