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朝乃山の大甘昇進 認めた協会幹部の大関昇進時も甘かった

朝乃山は満面の笑みで会見に臨んだ(時事通信フォト)

 史上初の無観客場所となった春場所で、関脇として11勝4敗だった朝乃山。大関昇進の目安となる「3場所33勝」には届かない32勝だったが、場所後に昇進が決まった。

「5日目の高安(前頭1)戦は不戦勝だったので事実上10勝だし、2横綱にも敗れた。内容的には不満が大きい。ただ、一人大関の貴景勝が負け越し、来場所はカド番。最悪、大関がゼロになる可能性もあるなか、“大甘昇進”となった」(若手親方)

 1955年以降、「大関が一人」の場所で大関昇進を決めた関脇の力士は7人。そのうち5人が、「3場所33勝」を満たしていない。中継解説でお馴染みの北の富士氏もその一人で、「3場所28勝」で昇進しており、心なしか千秋楽は口数が少なかった。

「他にもいまの協会幹部は、八角理事長(元横綱・北勝海)が3場所36勝だったのを除けば、“低いハードル”で大関に昇進した人ばかりです」(相撲ジャーナリスト)

 協会ナンバー2の尾車事業部長(元大関・琴風)は、「大関ゼロ」だった1981年秋場所に12勝3敗で初優勝し、大関に昇進。しかし、直近3場所では31勝に過ぎなかった。

「その後、大関での優勝は1回だけ。ナンバー3の芝田山広報部長(元横綱・大乃国)も31勝で大関になった。13場所で通過して横綱に昇進したが、横綱時代の優勝は1回だけです。15日制の横綱としては史上初の全勤で負け越しという不名誉な記録を残した」(同前)

 甘い基準での昇進は本人のためにならないように見えるが、「目安に届かず昇進した協会幹部たちが、朝乃山の昇進に反対するはずがない」(同前)ということのよう。

 近年では32勝で昇進した稀勢の里(現・荒磯親方)らがモンゴル勢の壁に跳ね返されてきた。朝乃山はどうなるか。

※週刊ポスト2020年4月10日号

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