すでに中古マンション価格は日経平均の下落に連動している
2月26日に公表された政府の新型コロナウイルス感染症対策本部から要請された方針を受け、感染拡大を防止する観点から、各種イベントやセミナーなども軒並み中止で、貸会議室やイベント会場もガラガラ。急速なリモートワーク進展によりオフィス需要も従来の30~40%のオフィス床減少数が見込まれる。
また、都心部の中古マンション価格は見事に日経平均株価に連動。仮に株価水準が戻らないとすると、都心3区(千代田区、中央区、港区)あるいは5区(3区に加えて新宿区、渋谷区)あたりの中古マンション価格は15~20%程度下落してもおかしくない。
そもそも「売り出し価格」と「成約価格」の乖離が進み、在庫が増えつつあるところにきてこの事態ゆえ、現在売りに出ている中古マンションは、相当下げないと売れないはず。
一方、新築マンション市場は2月、平均価格こそ下がらなかったが、そこにはカラクリがある。発売戸数を35.7%減らしたのだ。
資金体力のある、名だたる大手マンションデベロッパーの寡占化が進む新築マンション市場では、2008年のリーマン・ショック時に起きたような投げ売りは起こりにくく、供給を調整して様子見をしている状況だ。
現場ではモデルルームの来場者数が半減どころか、80~90%減のところも多い。来場があった場合でも、接触を極力避けるために、一組ずつのモデルルーム案内とするなどの対応をとっており、非効率極まりない状態だ。
東京オリンピック・パラリンピックの選手村跡地が新築マンションに生まれ変わる「晴海フラッグ」は、五輪延期により販売活動も自動的に1年以上延期され、引き渡し時期が少なくとも2024年以降と長期化するため、その分売れ行きは鈍化するだろう。
新築マンションの販売価格は生鮮食品などと同様「時価」であり、売れ行きが良ければ徐々に価格を上げるし、悪ければ下げざるを得ない。総戸数4000戸を超える晴海フラッグの売れ行き鈍化は、都心部・都市部の新築マンション市場全体に悪影響を及ぼすこと必至だ。