ライフ

ブッダの「PTSD」が仏教思想の形成に大きく影響

青年ブッダは何を見てしまったのか(ゲッティイメージズ)

 現代日本では、生きるうえでの悩みや不安に応えるものとして、2500年前の「ブッダの言葉」がたびたび話題になる。作家で仏教研究家の平野純氏によると、仏教はその歴史において変貌し続けているが、仏典(仏教の聖典・経典)に記されたその言葉からは、核心となる思想が読み取れるという。どんな思想か。

 * * *
 いまの日本では、日常生活のなかで死者と出会うことはまれですが、2500年前のインドでは、死体を目にするのにわざわざ墓場に足をはこぶ必要はなかった。それは文字通り、身近にあふれていたからです。

 ブッダが実際にどこで「人生最初の死体」を目にしたかはわかりません。ただ、その体験により今日でいうPTSD(心的外傷後ストレス障害)をわずらったとみられる出来事(*編注)は、のちに仏教の思想の形成に大きな意味をもつことになりました。

【*編注/仏典の多くに、「古代インド・シャカ国の王子として不自由なく暮らしていたブッダが、外出した際に老人、病人、死人の姿をそれぞれ目撃したことでショックを受け、後の出家のきっかけになった」旨が記されている】

 仏教のもつ思想の核心を一言で表わせといわれれば、さまざまな答えがでてくるでしょう。仏教の歴史は変貌の歴史です。仏教はその誕生から今日まで2500年のあいだにひとつの宗教の名のもとにくくるのがもはや困難なほど多様化、ときには「何でもアリ」と思えるほど中味を拡散させました。

 ただ、ここで焦点をすこし絞り、ブッダ個人の思想の核心にあるものを一言でいえといわれれば、それが「無常」の教えであると答えることに異論をとなえる人は少ないでしょう。

「無常」とは「ものは一瞬とおかず絶えず変化してゆくこと」を意味します。それは仏教徒にとって「言葉を超えた真実」として感受されるものです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎ストーカー殺人事件》「テーブルに10万円置いていきます」白井秀征容疑者を育んだ“いびつな親子関係”と目撃された“異様な執着心”「バイト先の男性客にもヤキモチ」
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《田中圭との不倫疑惑》永野芽郁のCMが「JCB」公式サイトから姿を消した! スポンサーが懸念する“信頼性への影響”
NEWSポストセブン
騒然とする改札付近と逮捕された戸田佳孝容疑者(時事通信)
《凄惨な現場写真》「電車ドア前から階段まで血溜まりが…」「ホームには中華包丁」東大前切り付け事件の“緊迫の現場”を目撃者が証言
NEWSポストセブン
2013年の教皇選挙のために礼拝堂に集まった枢機卿(Getty Images)
「下馬評の高い枢機卿ほど選ばれない」教皇選挙“コンクラーベ”過去には人気者の足をすくうスキャンダルが続々、進歩派・リベラル派と保守派の対立図式も
週刊ポスト
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン
成田市のアパートからアマンダさんの痛いが発見された(本人インスタグラムより)
《“日本愛”投稿した翌日に…》ブラジル人女性(30)が成田空港近くのアパートで遺体で発見、近隣住民が目撃していた“度重なる警察沙汰”「よくパトカーが来ていた」
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《スクショがない…》田中圭と永野芽郁、不倫の“決定的証拠”となるはずのLINE画像が公開されない理由
NEWSポストセブン
小室圭さんの“イクメン化”を後押しする職場環境とは…?
《眞子さんのゆったりすぎるコートにマタニティ説浮上》小室圭さんの“イクメン”化待ったなし 勤務先の育休制度は「アメリカでは破格の待遇」
NEWSポストセブン
食物繊維を生かし、健全な腸内環境を保つためには、“とある菌”の存在が必要不可欠であることが明らかになった──
アボカド、ゴボウ、キウイと「◯◯」 “腸活博士”に話を聞いた記者がどっさり買い込んだ理由は…?《食物繊維摂取基準が上がった深いワケ》
NEWSポストセブン
遺体には電気ショックによる骨折、擦り傷などもみられた(Instagramより現在は削除済み)
《ロシア勾留中に死亡》「脳や眼球が摘出されていた」「電気ショックの火傷も…」行方不明のウクライナ女性記者(27)、返還された遺体に“激しい拷問の痕”
NEWSポストセブン