日本の芸能界では異色の行動ばかりだが、海外においてはアーティストが自身の政治思想を明らかにすることは珍しい話ではない。むしろ、彼らの政治的態度も含めて評価する土壌が存在する。世界を舞台に活躍してきたMIYAVIにとっては、むしろ当然のことをしているという意識なのかもしれない。
ビジュアル系バンドへの造詣が深い音楽ライターの藤谷千明氏は、MIYAVIの強みをこのように語る。
「彼の魅力の源泉は、常に現状に安堵せず、自分自身をアップデートさせていくところにあるのではないでしょうか。ギターをスラップさせる独自の奏法も彼の探究心から生まれました。また、ソロ活動におけるバンドのスタイルも、X JAPANやLUNA SEAなどビジュアル系シーンの大物たちと共演する一方で、ブレイクする前のTeddyLoid(男性作曲家・ミュージシャン)、YORKE.(現在は音楽ユニットOLDCODEXのペインター)を起用したり、そして現在のようなギター、ドラム、DJ、サポートシンガーの削ぎ落とされた編成になるまで、様々な変遷を経ています」
あらゆる面で貪欲に“アップデート”を続けるMIYAVIは、海外展開を目指すLDH JAPANに新しい風を吹かせることだろう。
●取材・文/原田美紗(HEW)