国内

他人には寛容に、政府にはひるまず コロナ禍を乗り切る態度

緊急事態宣言を発令した安倍首相(時事通信フォト)

緊急事態宣言を発令した安倍首相(時事通信フォト)

 行動自粛が求められるなかで、国民のストレスはかつてないほどに高まっていくだろう。些細なことをきっかけに炎上、諍いの類も頻発するはずだ。われわれはどういう心持ちでいるべきなのか。コラムニストのオバタカズユキ氏が考察した。

 * * *
 株式会社ほぼ日代表取締役社長でコピーライターの糸井重里氏が、4月9日、炎上した。ツイッターに以下の書きこみをした結果である。

〈わかったことがある。新型コロナウイルスのことばかり聞いているのがつらいのではなかった。ずっと、誰ががが誰かを責め立てている。これを感じるのがつらいのだ。〉(原文ママ)

 誰が誰をずっと責め立てているのか、明示はしていない。が、このツイートを見た人の少なからずは、国民が政府を責め立てている、と読んだ。そして、たとえば以下のようなリプライで糸井ツイートを批判した。

〈責任ある立場の人がその責を果たしていなければ、問い正されるのは当たり前。そういうときに「責め立てる」のは当然。現に責任を果たされず苦しんでいる人がいるのに「誰かが誰かを責め立てるのを感じるのがつらい」と一般化して言うのは、苦しんでいる側の苦しみは感じないと宣言するようなもの。〉

〈庶民がふともらす不満に対して、「為政者のやることには一切口を出すな」というパターナリズム満載の思考を「やんわりとした口調」で押し付けようとしてくる人たちが次から次へと登場してくるこの現実がとても辛いわ。(糸井氏は、責められているって感じる側なんだね)〉

〈そりゃあマスク2枚に466億円なんて掛けられてるのを黙ってれば、さらなる愚策に走りそうな安倍政権ですからね。もっともっと声を上げないと、またお肉券だ旅行券だに税金が変わっちまいますからね。〉

 映画評論家の町山智浩氏は、さらに手厳しくこんなツイートを投げつけた。

〈糸井重里さん、もうレトリックはいいですよ。言いたいことをはっきり、「庶民はお上に逆らうな」「政府に補償を求めるな」「マスク二枚で満足しろ」「お前らは犬だ」「奴隷だ」と言えばいいじゃないですか。〉

 糸井氏が政府擁護、国民批判の意図でツイートしたかどうかはわからない。しかし、ストレスのたまっている国民の多くが、政府のもたつくコロナ対策に苛立ちを覚えていることは確かで、消費者の空気を読むプロ中のプロであるはずのコピーライター糸井氏が、そんな当然の国民感情も汲み取れなくなっているとは驚きだ。老化だろうか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
「全国障害者スポーツ大会」を観戦された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月26日、撮影/JMPA)
《注文が殺到》佳子さま、賛否を呼んだ“クッキリドレス”に合わせたイヤリングに…鮮やかな5万5000円ワンピで魅せたスタイリッシュなコーデ
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
遠藤
人気力士・遠藤の引退で「北陣」を襲名していた元・天鎧鵬が退職 認められないはずの年寄名跡“借株”が残存し、大物引退のたびに玉突きで名跡がコロコロ変わる珍現象が多発
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
相撲協会と白鵬氏の緊張関係は新たなステージに突入
「伝統を前面に打ち出す相撲協会」と「ガチンコ競技化の白鵬」大相撲ロンドン公演で浮き彫りになった両者の隔たり “格闘技”なのか“儀式”なのか…問われる相撲のあり方
週刊ポスト
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン