当時の日本政府も差別には批判的でした。1939年7月29日に内務省・厚生省の両次官が出した地方長官宛通牒『朝鮮人労働者内地移住に関する方針』では、日本人雇用主に朝鮮人労働者の処置については、出来うる限り内地人労働者との間に差別がないようにすることを謳っているのです。
朴慶植氏はこうした背景を意図的に無視して、『北海道D炭鉱民族別の賃金分布』の資料だけをもって『朝鮮人差別だった』と主張しているのです。こうした事実を明らかにするために、私は2017年に『戦時中日本へ労務動員された朝鮮人鉱夫(石炭、金属)の賃金と民族間の格差』という論文を書きました。
私は労務動員問題を研究していくなかで多くの文献、日本で所蔵されている公的資料を読み研究を重ねてきました。そこで確信を得たのが労務動員、そして徴用工問題では多くの史実が歪められてきたという事実でした」
*赤石晋一郎著『韓国人、韓国を叱る』(小学館新書)より抜粋
労務問題を専門とする李宇衍氏が語る