国際情報

『反日種族主義』著者「徴用工問題の根幹に史実の歪曲あり」

文在寅大統領は歴史とどう向き合っているのか(写真/EPA=時事)

 いまだに日韓で解決の兆しが見えない徴用工問題。なぜ韓国でここまで問題にされるようになったのか。ベストセラー『反日種族主義』の著者が、日本のジャーナリスト・赤石晋一郎氏の取材に、意外な真相を明かしていた。

* * *
 徴用工問題のルーツとなったのは、ある政治的な意図を持った学者の研究だった、と『反日種族主義』の著者の一人であり、労務問題を専門とする李宇衍氏は言う。日韓対立における最大の障壁のひとつとなっている徴用工問題。その歴史的背景には何があったのか。

「1965年、国交正常化を目指した韓日基本条約が妥結する直前、朝鮮総連はこの動きに強く反対をしていました。韓国と日本が手を結べば、北朝鮮が包囲されてしまうと考えたためです。そこで日本は悪いと主張し、国交正常化を難しくする必要があった。

 そうして書かれたのが朝鮮総連の学者である朴慶植氏による『朝鮮人強制連行の記録』(1965年)でした。その本の内容は1939年以降、朝鮮人が強制連行され強制奴隷労働をしたと主張したものです。この言説は刊行から50年が過ぎたいまでも韓国内では『常識』として捉えられており、歴史学会においても通説とされている。韓国研究者、日本の良心的な知識人も同じ主張をしています。

 じつは彼の本は歴史資料によって深く検証されたことがないのです。私は資料を検証し、多くの事実が歪曲されていたことを発見しました。

 例えば朴慶植氏は、朝鮮人は朝鮮人であるという理由だけで、同じ作業をしている日本人より低い賃金を受け取っていたと主張しています。その根拠となっているのが『北海道D炭鉱民族別の賃金分布』(労働科学研究所)という資料です。

 表を見ると50円以上の賃金を受け取っているのが日本人の場合82.3%であり、一方で朝鮮人は50円未満が75.0%を占める。これだけ見ると確かに朝鮮人の賃金が低かったように見える。

 しかし、労働科学研究所の資料には別の資料も掲載されていることを私は発見しました。『北海道D炭鉱民族別勤続年数分布』という資料です。これを見ると朝鮮人の勤続年数は2年未満が89.3%である一方で、日本人は2年未満が42.8%、2年以上が57.2%に達します。炭鉱労働は勤続年数が作業効率に直結する仕事です。ですから熟練度が高い労働者ほど賃金が高かったのは必然だったといえる。

 また単身で渡航してきた韓国人労務者が多かった一方で、日本人労務者は家族がいるケースが多く、労働時間が長いためそのぶん賃金が高かったということもあった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

公用車が起こした死亡事故の後部座席に高市早苗氏の側近官僚が乗っていた可能性(時事通信/共同通信)
《高市早苗氏ショック》「大物官僚2名」がグシャグシャの公用車の中に…運転手が信号無視で死亡事故起こす、内閣府は「担当者が出払っている」
NEWSポストセブン
デビット・ベッカムと妻のヴィクトリア(時事通信フォト)
〈泥沼ベッカム家の絶縁騒動〉「私は嫌というほど知っている」デビット・ベッカムの“疑惑の不倫相手”が参戦、妻ヴィクトリアは“騒動スルー”でスパイス・ガールズを祝福
NEWSポストセブン
元旦にIZAMとの離婚を発表した吉岡美穂(時事通信フォト)
《やっぱり女性としてみてもらいたい…》吉岡美穂とIZAM、SNSから消えていた指輪と夫の写真「髪をバッサリ切ってボブヘアに」見受けられていた離婚の兆候
NEWSポストセブン
殺人の疑いで逮捕された大内拓実容疑者(28)。ネイリストの小松本遥さんをストーカーしていた可能性も浮上している(本人SNSより)
「“推しの子”を見つけて通うタイプ」「キャバクラの女の子に頻繁に連絡」飲食店で出会い交際、破局の果てにストーカー化…大内拓実容疑者(28)の“夜の顔”《水戸市・ネイリスト女性刺殺事件》
NEWSポストセブン
山上徹也被告が鈴木エイト氏に明かした肉声とは
【独自】「文書が先に出ていたら…」山上徹也被告が“判決直前”、鈴木エイト氏に語っていた「統一教会文書」と「高市側近」への思い
NEWSポストセブン
稀代のコメディアン・志村けん
《志村けんさんの3億円豪邸跡地》閑静な住宅街に「カン、カン」と音が…急ピッチで工事進める建設会社は“約9000万円で売り出し中”
NEWSポストセブン
政界を引退する意向を表明した菅義偉氏(時事通信フォト)
〈もう反応がほとんどない…〉政界引退の菅義偉元首相、接待疑惑の“ロン毛”長男ではなく「かばん持ち」から始めた叩き上げの秘書が後継指名された理由
NEWSポストセブン
6年ぶりに相撲の観戦をした愛子さま(2026年1月18日、撮影/JMPA)
愛子さま、6年ぶりの相撲観戦で好角家の本領を発揮 星取表に勝敗を書き込み八角理事長にたびたび質問 結びの一番後は上位力士と懇談、“推し”はウクライナ出身の安青錦か 
女性セブン
33歳という若さで亡くなった韓国人女性インフルエンサー、ビョン・アヨンさん(Instagramより)
「何かを注射されたのでは」「発見時に下着が逆向きで…」カンボジアで起きた韓国人美女インフルエンサー殺害・死体遺棄事件【3年間も未解決の“闇”】
NEWSポストセブン
フリースタイルスキー界のスター、アイリーン・グー選手(時事通信フォト)
〈完璧すぎる…〉雪の女王が「ビキニ一枚写真投稿」で話題に 22歳の谷愛凌選手、ミラノ冬季五輪へ スキー×学業×モデル“三刀流”の現在地
NEWSポストセブン
中国出身の女性インフルエンサー・Umiさん(TikTokより)
「400人以上が行方不明に」中国人美女(20)が変わり果てた姿で発見…韓国にも忍びよる“カンボジアの闇” インフルエンサーが発信していた“SOS”
NEWSポストセブン
茨城県水戸市のアパートでネイリストの小松本遥さん(31)が殺害された事件で1月21日、元交際相手の大内拓実容疑者(28)が逮捕された(知人提供)
《水戸市ネイリスト刺殺》「ぞろぞろ警察がきて朝から晩まで…」元交際相手の大内拓実容疑者(28)“逮捕前夜” 近隣住民の知人は「ヤンチャな子が集まってた」と証言
NEWSポストセブン