台湾の教え子たちから高木さんに届いた手紙
仲間たちと手分けして旧住所の周辺を訪ね歩き、10日間ほどかけて90歳近くになっていた教え子のもとへと手紙を届けることに成功。生きている教え子たちが連絡を取り合い、手紙のやり取りが再開した。このことは台湾で大きな感動を呼び、母校である烏日小学校の100周年を記念した行事としてインターネットのテレビ電話を使い、高木さんと教え子たちの“70年ぶりの同窓会”も実現した。
私(筆者)は高木さんと教え子の間に生まれたストーリーを書籍にまとめ、2016年に『この手紙、とどけ!──106歳の日本人教師が88歳の台湾人生徒と再会するまで』(小学館)として発刊。その後も高木さんの家族から手紙や電話で定期的に近況を聞いており、ずっとお元気だったので、突然の訃報に驚いた。
台湾の教え子やその子、孫にLINEを通じて訃報を告げると、教え子の楊吉本さんからすぐにお悔やみのメッセージが寄せられた。
「敬愛なる高木先生が天に召されたとのこと。先生が安らかに眠り、天国の栄光がありますようお祈りします。ご家族の皆様にはお悔やみ申し上げます。私たちは先生を天国へと温かくお見送りします」
教え子の胡土木さんの孫・廖于蓁さんは亡くなった祖父に代わり、こう追悼のメッセージを寄せた。
「慈悲深く善良な高木先生は、私たちの敬愛する大先輩で、本当に残念でなりません。祖父と高木先生が天国でもまた師弟の縁を続け、昔話や他愛ないおしゃべりをしていますよう願っています。私たちはいつまでも高木先生のことが大好きです。ずっと忘れません」
廖于蓁さんからは「叔母たちと連名で香典を出したいので、立て替えておいて欲しい」と頼まれた。葬儀の直前、私は急いで香典袋を用意し、彼女たちの名前を記して斎場に供えた。
高木さんの長男・保明さん(70歳)が、台湾への感謝の言葉を口にする。