東京も事態は深刻そうだ。旅館経営の60代女性はハローワークから出てくるなり、こうこぼした。
「旅館は都の休業要請の業種に入っていないから、休みにしても協力金はもらえない。でも、お客さんは来ないから商売にはならなくて、2人の社員には代わる代わる休んでもらっています。(雇用調整)助成金はもらえそうだけど、本当に1か月で出るのか心配です」
“渋滞”が生じているのは役所の窓口だけではない。多くの事業主が、書類の不備などで申請を突き返されないよう、社会保険労務士や税理士ら“プロ”に相談しようとするが、それもままならない。社会保険労務士の蒲島竜也氏はこう話す。
「手続きを簡素化したといっても、用意する書類は多く、事業主が自分一人でやるとかなりの時間がかかる。ただ、社労士の側もテレワークで事務所の出勤人数を減らすなどしているなか、相談電話が殺到してパンク状態のところが多いのです」
※週刊ポスト2020年5月1日号