日本の法的責任はないと語る金氏
そこまで語ると金仁成氏は小脇に抱えた本を指で叩いた。
「韓日請求権交渉では韓国政府が103万2684名の軍人軍属労務者の未払い金に対して、3億6400万ドルを要求しました。日帝下の36年間、日本政府は植民地下の韓国に多くの投資をしました。発電所を作ったり、全国に鉄道網を敷いたり、電信施設を作った。国家インフラにお金をかけたのです。日本敗戦のときには、日本政府が持っていた資産、日本国民の資産を全て韓国に残して引き揚げた。日本が韓国に残した資産は、強制連行の供託資産をはるかに超えると日本政府は請求権交渉の中で反論しています。もし韓国政府が3億6400万ドルを要求するなら、日本は韓国政府に残してきた資産返還を要求すると主張し、会談は決裂したこともあった。
決裂してから4年間、会談は中止されていました。再開したとき、韓国政府は3億6400万ドルを再び要求した。交渉の結果、韓国政府は戦中未払い金として無償3億ドル、有償2億ドルを貰うことになったのです。それらを韓国政府は経済発展に使ったのです。
韓日請求権協定当時の韓国は、貧しい国でみなが腹をすかしていた。お金が必要だったのです。徴用工裁判を見て私が思うのは、日本には法的責任はないということです。なぜなら韓日請求権協定を結んでいるからです。しかし、道義的部分の責任は日本政府にも多分にあったとは考えています」
※赤石晋一郎著『韓国人、韓国を叱る』(小学館新書)より抜粋。