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コロナで廃業を真剣に考え始めた40代崖っぷち男性声優の本音

声の仕事は好きだけど……(イメージ)

声の仕事は好きだけど……(イメージ)

 日本俳優連合(西田敏行理事長)の実態調査が波紋を広げている。4月になってから新規の仕事依頼がまったくなくなった俳優・声優が約7割、収入が50%以下になった人が34.4%にものぼったからだ。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために制作がストップしているためだ。仕事や人生がいまひとつうまくいかないと鬱屈する団塊ジュニアやポスト団塊ジュニアを「しくじり世代」と名付けた『ルポ 京アニを燃やした男』著者の日野百草氏が、今回は、コロナの影響で廃業を真剣に考え始めた40代男性声優についてレポートする。

 * * *
 4月17日、緊急事態宣言が日本全国に拡大された週末の金曜日、シャッター街となった東京の秋葉原の一角に人が溢れていた。大手アニメショップがこの日を境に一時休業するとあって、客でごった返していた。それにしても凄い人、立ち入りはしなかったがみんな怖くないのだろうか、マスクをしている人が心なしか少ない気がする。若い人が多いのもあるのだろうが、自分だけは大丈夫と思っているのだろうか。などと遠巻きに眺めながら、待ち合わせの喫茶店に向かう。大手量販店は軒並み休業だ。

 裏通りに入ると、大手同人ショップは時短対応で一部店舗は開いていた。こちらは平日の一部店舗は開くとのことで急ぐこともないのか、人が少ない。小規模なPCパーツショップやオタクグッズ屋も同様だ。オタクはインドアでネット強者の通販好きというイメージで語られがちだが、同好と連れ立って秋葉原を歩いて物色、あーでもないこーでもないと話すのも楽しみだったりする。実際、カップルや同好と思わしき集団も散見される。いつもと違うのは外国人がほとんどいないことくらいか、それでもなんだかんだ言って街に人は少ない。これがあの秋葉原かというほどに。

「講師やイベントの仕事もしばらくないし、別のバイトもシフトを減らされて、ほんとお手上げだね」

 待ち合わせの相手は男性声優のロンドさん(40代・仮名)である。彼の所属していた前の前の事務所時代、2000年代前半に私と仕事をしていただいた方である。背は高くないが強そうな出で立ちで貫禄がある。実際、役柄も若い頃から筋骨隆々とした体格のガチムキ系やおじさんが多い。しかしその姿や声に似合わずかわいいクリームソーダを頼んでいた。この有名画家の名を冠した喫茶店は唯一、コロナの中でも営業していたのがこの店舗であり、ロンドさんのお気に入りでもある。

「声の仕事? 単発で入ることはあるけど少ないね。それはずっとだけどさ。だからイベントの司会とか声優学校の講師とか。声優学校といっても誰も知らないような学校だけど」

 ロンドさん、数年前に事務所を退所して以来、声優としては開店休業状態の「崖っぷち声優」である。その間は知り合いの紹介で声仕事を数件、地下アイドルやショッピングモールのイベント司会、あとはアルバイトで食いつないで来た。というか生活費の大半はアルバイトで、そこから家賃を捻出している。独身で、現在とくに付き合っている人はいない。

「俺みたいな仕事がない声優をバカにする人もいるけど、一般的な声優の大半はこんな感じだよ。これは新人でもベテランでも変わらない」

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