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2020.04.30 16:00  週刊ポスト

【関川夏央氏書評】ローカル私鉄で関西文化を知る手がかりに

『すごいぞ!関西 ローカル鉄道物語』田中輝美・著

【書評】『すごいぞ!関西 ローカル鉄道物語』/田中輝美・著/140B/1800円+税
【評者】関川夏央(作家)

 ローカル鉄道とは、要するにイナカの私鉄のことだ。そのうち関西二府三県、十一私鉄を紹介するのは地方新聞記者出身の女性ライターである。イナカの私鉄といってもさまざま、営業区間69.6km、年間乗客数5828万人の神戸電鉄から、わずか2.7km、10万7千人の和歌山県御坊市の紀州鉄道まで、過剰なまでに多彩だ。

 神戸・新開地から六甲山系の裏側に向かう神戸電鉄有馬線は、有力な通勤・生活路線なのに50パーミル(1000m進むうちに50m登る)という登山電車並みの勾配を持つ。電気制動をかけながらの下りは、まさに「鵯越の逆落とし」で「一乗」の価値がある。

 紀州鉄道の短さは異例中の異例、これで経営が成り立つかといえば、成り立たない。電鉄会社の看板が欲しい不動産会社が買い取った。だから赤字でも構わないということらしい。

 ほかに、ほとんど路面電車の阪堺電車、京都の叡山電車、京福電気鉄道、鉄道インフラと電車運行を「上下分離」、別会社で経営する京都丹後鉄道、ネコの「たま駅長」で知られた和歌山電鐵などがあるが、人口減少と高齢化に苦しむのはどこも同じ、十一社中半数はバスへの転換が妥当な段階に入っている。しかし著者は、工夫と努力で延命をはかるローカル鉄道に意地でも肩入れしたいようだ。

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