イベントについてはこうある。
「地域における感染者の実情やその必要性等にかんがみて、主催者がどうしても、開催する必要があると判断する際には以下【1】~【3】などを十分注意して行っていただきたい。(中略)【1】人が集まる場の前後も含めた適切な感染予防対策の実施、 【2】密閉空間・密集場所・密接場面などクラスター(集団)感染発生リスクが高い状況の回避、 【3】感染が発生した場合の参加者への確実な連絡と行政機関による調査への協力」
慎重な言葉遣いではあるものの、イベント運営側からすれば【1】~【3】「など」を実践すればイベントはやってもいいと解釈された部分はあるだろう。この時、ネットで槍玉に上がったのが6500人の観客が訪れたK-1だ。K-1だけがイベントを決行したわけではないものの、3連休の期間中、ネットではK-1叩きが過熱し、その後小池百合子・東京都知事も名指しするなどした。そして、この19日の分析・提言においてメディアが報じた部分で大きかったのが以下だ。
「感染状況が収束に向かい始めている地域並びに一定程度に収まってきている地域では、後述するように、人の集まるイベントや『3つの条件が同時に重なる場』を徹底的に回避する対策をしたうえで、感染拡大のリスクの低い活動から、徐々に解除することを検討することになると考えます。ただし、一度、収束の傾向が認められたとしても、クラスター(患者集団)発生の早期発見を通じて、感染拡大の兆しが見られた場合には、再び、感染拡大のリスクの低い活動も含めて停止する必要が生じえます」
ここでメディアが多く取り上げたのが「感染拡大のリスクの低い活動から、徐々に解除することを検討することになると考えます」の部分だ。
その翌日、20日の会見で安倍首相は19日の専門家会議の提言を受け、一斉休校要請を新学期から解除する方針と大規模イベント開催を慎重に対応するよう主催者に求めた。この2つの点から緩みが出たという指摘がある。事実4月18日の毎日新聞電子版では「3月の3連休(20~22日)に多くの人が観光地などを訪れ、潜伏期間を経て全国の1日当たりの新規感染者数が3.5倍に急増」という実態も報じられている。
「徐々に解除」という言葉は一つの「安心のお札」的になった面も否めない。また、イベントをやるにしても前出【1】~【3】をやればいい、といった印象を与える結果になったかもしれない。人は自分にとって都合よくものごとを解釈する。「3密を回避」と言われても「2密」ならば大丈夫であると解釈する人もいるわけで、つくづく人に何かを伝えるのが難しいことを今、政治家や専門家は感じていることだろう。