国内

「気が緩んだ」扱い、3月3連休前の専門家と首相の発表を振り返る

3月3連休前の発表がどう影響したのか(時事通信フォト)

 新型コロナウイルスの感染拡大は一向に収束は見通せず、政府による「緊急事態宣言」の延長の方針も明らかになった。安倍晋三首相や政府の専門家会議は、外出自粛や感染予防などに関して繰り返し呼びかけを行っているが、彼らの3月中の提言が、その後の3連休中の国民の「気の緩み」につながったと指摘する声が上がっている。ゴールデンウイーク中の今、その影響について考えたい。ネットニュース編集者の中川淳一郎さんが検証する。

 * * *
 日本国内、特に東京で新型コロナウイルスの感染拡大のペースが加速したのは4月に入ってからだが、3月20日から22日の3連休に「気の緩み」があったと指摘する声もある。今はGW真っ盛りだが、あの3連休のような状態が発生すれば、再び4月上旬以降の感染者激増再来の事態につながりかねない。

 3連休における国民の動きに影響を与えたのが3月19日の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」による「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」とその後の安倍首相による3月20日の発表だ。

 この提言は厚労省のHPに19ページにわたって掲載されているが、会議のメンバーはこの資料を基に会見を行った。同委による見解の発表は2月24日、3月2日に続く3回目。安倍相が2月27日、3月2日からの学校の一斉休校を発表したが、この時はさすがに世の中の空気は締まった感はある。ただし、安倍首相は「厚生労働、文部科学両省とも十分に調整せず、首相はその後、専門家の意見を聞いていないと明かした」(毎日新聞電子版・3月20日)とされている。

 3月19日の提言で専門家は、北海道における2月28日の緊急事態宣言発動が一定の効果が出たと説明。そのうえで、日本全体についてはクラスター(患者集団)が分からない場合はオーバーシュート(爆発的患者急増)の恐れがあると前置きしたうえで、こう説明した。

「引き続き、持ちこたえていますが、一部の地域で感染拡大がみられます。諸外国の例をみていても、今後、地域において、感染源が分からない患者数が継続的に増加し、こうした地域が全国に拡大すれば、どこかの地域を発端として、爆発的な感染拡大を伴う大規模流行につながりかねないと考えています」

 さらには「一連の国民の適切な行動変容により、国内での新規感染者数が若干減少するとともに、効果があったことを意味しています」とも説明しそのうえで「3密」を避けるよう促した。専門家会議は慎重に言葉を選んで提言を行っている。一つがイベントについての言及である。

「規模の大きなイベントの場合は、会場に感染者がいた場合に、クラスター(患者集団)の連鎖が発生し、爆発的な感染拡大のリスクを高めます。現時点では、安全な規模や地域による基準を設けられるような科学的な根拠はなく、これまでの事例から判断するしかない状況です。『3 つの条件が同時に重なる場』を避けるなど適切な対応をとられれば、オーバーシュートを未然に防ぐこともあり得ますが、国内外の現在の感染状況を考えれば、短期的収束は考えにくく長期戦を覚悟する必要があります」

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