ビジネス

コロナ禍で注目、「ポートフォリオワーカー」という働き方

マダム・ホーさんは25種類の収入源を持つという

 コロナ禍で職を失う人・収入が激減する人が多い中、これまで副業を禁止することが多かった日本企業も考えをあらためるところが増えているという。そもそも副業は欧米を中心に世界の常識であったのに対し、日本では最近になってやっと可否が論じられるようになった。この国難をきっかけにその流れが加速することも考えられるが、複数の職業・収入源を持つ人=ポートフォリオワーカーに関する新刊『ポートフォリオワーカー 「副業より複業」で幸せなお金持ちになる方法』(小学館)の著者マダム・ホーさんに話を聞いた。

 * * *
 私は大阪出身の日本人です。単身アメリカに渡って医療関係の仕事につきましたが、父が倒れて介護貧乏に転落し、その経験から「何が起きても収入に不安を抱く必要のない働き方」について考えるようになりました。

 結果、現在私は25種類の仕事(収入源)を持っています。便宜上、誰かに聞かれると「本業は国際会議などでの同時通訳」と答えますが、通訳も25の仕事のうちのひとつにすぎません。

 アメリカでは複数の仕事を持つのは珍しいことではありません。日本のように、ひとつの会社に属していれば生涯安心という感覚を持つ人はほとんどおらず、自分のやりたいことを求めて次々に転職するのも普通です。そうした暮らしの中ではどうしても収入が減ってしまう、あるいは失ってしまうリスクに備える必要がありますから、皆、複数の仕事・収入源を持とうと考えます。その中には投資も含まれ、自分が働かなくても勝手にお金が働いてくれる=「不労収入」を得ることに熱心な人が多いのも日本との違いかもしれません。

 こうした、複数の仕事・収入源を持つ人のことを「ポートフォリオワーカー」と呼びます。もともと「ポートフォリオ」は書類ケースのことですが、金融の世界では「金融資産の分散投資」を指し、そこから派生して「複数の仕事を同時並行してかけもつ人」のことをポートフォリオワーカーと呼ぶようになったと言われています。

 私が新刊『ポートフォリオワーカー 「副業より複業」で幸せなお金持ちになる方法』の原稿を書いていたころ(昨年)、「働き方改革」の影響もあってか、日本でもようやく副業の可否が論じられるようになってきました。人生いつ何が起きるかわかりませんから、何かが起きたそのときに途方にくれるようなことがないように、「副業」どころではなく「複業」を考えましょう、というメッセージでもあったのですが、まさにそんな事態が起きてしまいました。そのころは想像もしませんでしたが、収入源を失って大変な不安の中にいる方も多いと思います。

 このコロナ禍後の世界は働き方も以前と変わっていくはずですし、「何かが起きたときにも対応できる働き方」を考える人が増えるでしょう。それがまさに「ポートフォリオワーカー」としての生き方です。

 ポートフォリオワーカーになるには準備も必要です。自分に何ができるのか、自分の強みは何か、そして本当にやりたいことは何なのか−−これらのことを自分と向き合ってクリアにするのが最初のステップ。次に、限られた時間を何にどう割いていくのか、時間に対する観念をあらためる必要があります。このプロセスを進めるためのワークも本書で紹介していますので、ご興味のあるかたは参考にしていただけたらと思います。

関連キーワード

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン