分散登校を始めている小学校では、給食時間も密状態を避けている(時事通信フォト)
6月再開を考えると、失われたおよそ8週間分の授業時間を取り戻すためには、どうしても夏休みを授業に充てる方法が現実的です。お盆の週だけ休みにしても、5週間ほど確保できる計算になります。
しかし、夏休みを使った授業にも問題があります。それは、エアコンがすべての学校に整備されていないことです。文部科学省の調査によれば、2019年9月1日時点で公立学校普通教室のエアコン(冷房)設置率は78.4%。徐々に普及率は上がってきていますが、昨年のような酷暑が続けば、エアコンなしの環境では熱中症が心配され、授業どころではありません。
また、エアコンの使用は「密閉状態」を作ることにもなります。夏にコロナがどこまで収束しているか分かりませんが、教室内でのマスク着用は当然として、手洗いや消毒を徹底し、こまめに換気することが必要になります。加湿器を利用して空間浄化する方法もあります。これは、次亜塩素酸水生成パウダーを使用し、空間に噴霧させる方法です。
3蜜を作らない状態にするためには、しばらく文科省で検討している「学年を分けた登校」、「時間差登校」、「クラスを少人数に振り分け、登校日ではない学年のクラスを使って授業する」などの策は講じなければならないでしょう。
夏休みの短縮以外では、土曜授業で乗り切ってはどうかという意見も多数あります。保護者としても土曜通学を歓迎する向きはありますが、土曜日は塾に通ったりサッカーや水泳、ダンスなどスポーツ系の習い事をしている子どもも多いため、全員参加を強制するのは難しいかもしれません。
その他、オンライン教育を授業の代替え案のひとつとしてどうかと、よく尋ねられますが、すぐに充実させられる策ではありません。
意外かもしれませんが、OECD(経済開発協力機構)の調査(2018年)によると、日本のICT(情報通信技術)の利用率はわずか3%、電子機器の整備率は18.6%、さらに、この間のオンライン教育は5%(文科省調べ)に留まっています。オンライン教育の環境が整っておらず、物理的にも今の状態では一部の普及にとどまっているのが現状なのです。
今後考えられる感染の第2波に備えるためにも、今すぐにでもオンライン教育に予算をつけ、教育委員会を通して整備すべきだと思います。