「テレビの人はちょっと遠いでしょ(笑い)。でも、ぼくは“悠里ちゃん”なんて呼んでもらえる近しい存在。その親しい友人が情報を伝える信頼感もラジオのいいところ」
番組には80代、90代の人からの投稿も実に多い。彼らにもしっかり届くようにゆっくり話すのが信条だという。
「いまは何かと横文字が多いでしょ。ステイホーム、ソーシャルディスタンス、詳しくはQRコードからどうぞ…なんて、お年寄りはついて来られないですよ。ぼくは“リスナー”という言葉も避けます。“ラジオをお聴きのみなさん、家で過ごしましょう”です」
またこんなエピソードもある。夫に先立たれてひとり暮らしの女性が、帰ってきたとき寂しいからラジオをつけたまま仕事に行くという手紙が、大沢さんの元に届いたという。
「うれしかった。声で寄り添えるんだなと思いました。だからぼくもラジオの向こうで“うん、わかった”と、うなずく姿を想像しながら話す。ぼくも煙いっぱいの焼鳥店が好きな一庶民です。常にみなさんと同じ生活者として、語りかけたいと思っています」
◆素朴で無邪気な笑いを楽しめる人間の底力
大沢さんのファンには『お色気大賞』という人気コーナーが忘れられないだろう。聴取者が投稿したお色気話を、大沢さんがドラマ仕立てで読む。残念ながら2017年に終了したが、いまも名コーナーを惜しむ声は多い。