きゃりーぱみゅぱみゅは意見表明してSNS炎上した(時事通信フォト)

きゃりーぱみゅぱみゅは意見表明してSNS炎上した(時事通信フォト)

 こうして「左右標榜」の上で、ネット上で意見の異なる人を攻撃しまくる人々は、一見すると特定の集団にも見える。特に、自民党や共産党の支持者はそれぞれ、ネット上の意見表明、その結果起きるハッシュタグを用いたムーブメントを、幹部と思しき人たちの決定で組織的に行っているという見方が根強くある。さらに、そうした仕事を「外注させている」などと、事あるごとに囁かれている。だが、どの推察もすべて的外れだ。

「一部の党に、そういう人たちがいるのは本当ですが、彼らがネット上の何千、何万という意見を機械的に作り出したり、世論操作に影響を及ぼしているかといえば、そうではありません。意見の異なる互いの人々についての、『そうに違いない』と思い込みから発せられるものでしょう」

 こう解説するのは、全国紙野党担当記者。実際に海外では、英国のEU離脱や米大統領選に関与したケンブリッジアナリティカ事件など、特定勢力からの依頼によるネット工作の実態も明るみになっている。だがそれらは多額の費用が投じられたビジネスであり、さらに心理学を応用した巧妙なもので、工作によって自分や友人の意見が変更させられたことに気づけないようなものだった。一方、我が国では、前述の事件のようなネット上の「工作」は現状確認されていないという。検察庁法を巡る騒動でも、反対派の意見と、賛成派……というより「反対派に反対する」という意見は、結局拮抗しているようにも見えた。世論は完全に二つに分かれたようにも見えたが……。

「多くの新聞、テレビニュースがSNS上で何百万件投稿された、という形で報じていましたが、これは極めて危険です。そもそもSNSの運営会社が、トータルで何件のツイートがあった、とは公式に発表しておらず、取材しても出してはくれていません。これは何か意図があってというよりは、システム的に出せないようなのです。ただ、非公式には、一つのアカウントが何件も同じ投稿をやっていた事例はあると認めています。要は、意見や声の数は、作ることができるのです。支持する意見が異なるユーザーたちをみると、どちらにも同じような傾向があります。一部の人たちが何件も同じようなツイートを連発し、意見の異なる人たちを攻撃しまくっている」(全国紙野党担当記者)

 こうした攻撃的な人々ほど「政治的な立場をはっきりと示せ」と他人に強要し、その上で「日本は諸外国に比べて遅れている」などと悲壮感たっぷりに言って見せているのは、皮肉なことだ。自分と異なる信条だとわかると攻撃する彼らの言動そのものが周囲を威嚇するため、政治について思うところがあっても、皆の口を閉ざさせているからだ。なにより、政治的な意見が画一的であるはずはない、それぞれ生き方も考え方も違うのだ。その多様性を認めない世界を彼らは求めているのか?

 本来、政治的にどんなものを支持するかという行為の先には、自身や家族、地域や社会の幸せを達成したいという純粋な願いがあるはず。様々な意見がある中で、国民、市民の幸福最大化に努めるのが民主主義政治の目的であって、民主主義に必要不可欠なのが、私たちの声、投票に他ならない。

 今起きていることはといえば、ただ平民同士での揚げ足取りに終始し、互いの声を声とも認めずに罵声の応酬に労力を割くばかり。そもそも何が問題で、何のために議論していたのか、いつの間にか忘れてしまうようなことすら起きている。結果、政治が悪いマスコミが悪いと責任転嫁して、また次に炎上しそうなネタに、条件反射的に飛びつく人たちが、世論と言われるものを形成していく。悶着に疲弊した人々は、ますます政治らしきものから距離を置く。そうした意味で、我が国は諸外国に比べ本当に遅れているし、劣っている。為政者にとっては、国民の「政治への無関心」以上に心地よい状況であるのかもしれない。

関連記事

トピックス

五輪出場を辞退した宮田
女子体操エース・宮田笙子の出場辞退で“犯人探し”騒動 池谷幸雄氏も証言「体操選手とたばこ」の腐れ縁
女性セブン
熱愛を報じられたことがないSixTONESジェシー
《綾瀬はるかと真剣交際》熱愛を報じられたことがないSixTONESジェシー「本当に好きな彼女ができた」「いまが本当に幸せ」と惚気けていた
女性セブン
伊藤被告。Twitterでは多くの自撮り写真を公開していた
【29歳パパ活女子に懲役5年6か月】法廷で明かされた激動の半生「14歳から援助交際」「友人の借金を押しつけられネカフェ生活」「2度の窃盗歴」
NEWSポストセブン
池江
《復活を遂げた池江璃花子》“母離れ”して心酔するコーチ、マイケル・ボール氏 口癖は「自分を信じろ」 日を追うごとに深まった師弟関係
女性セブン
中学の時から才能は抜群だったという宮田笙子(時事通信フォト)
宮田笙子「喫煙&飲酒」五輪代表辞退騒動に金メダル5個の“体操界のレジェンド”が苦言「協会の責任だ」
週刊ポスト
熱愛が発覚した綾瀬はるかとジェシー
《SixTONESジェシーと綾瀬はるかの熱愛シーン》2人で迎えた“バースデーの瞬間”「花とワインを手に、彼女が待つ高級マンションへ」
NEWSポストセブン
熱い男・松岡修造
【パリ五輪中継クルーの“円安受難”】松岡修造も格安ホテル 突貫工事のプレスセンターは「冷房の効きが悪い」、本番では蒸し風呂状態か
女性セブン
綾瀬はるかが交際
《綾瀬はるか&SixTONESジェシーが真剣交際》出会いは『リボルバー・リリー』 クランクアップ後に交際発展、ジェシーは仕事場から綾瀬の家へ帰宅
女性セブン
高校時代の八並被告
《福岡・12歳女児を路上で襲い不同意性交》「一生キズが残るようにした」八並孝徳被告は「コミュニケーションが上手くないタイプ」「小さい子にもオドオド……」 ボランティアで“地域見守り活動”も
NEWSポストセブン
高橋藍選手
男子バレーボール高橋藍、SNSで“高級時計を見せつける”派手な私生活の裏に「バレーを子供にとって夢があるスポーツにしたい」の信念
女性セブン
幅広い世代を魅了する綾瀬はるか(時事通信フォト)
《SixTONESジェシーと真剣交際》綾瀬はるかの「塩への熱いこだわり」2人をつなぐ“食” 相性ぴったりでゴールインは「そういう方向に気持ちが動いた時」
NEWSポストセブン
いまは受験勉強よりもトンボの研究に夢中だという(2023年8月、茨城県つくば市。写真/宮内庁提供)
悠仁さま“トンボ論文”研究の場「赤坂御用地」に侵入者 専門家が警備体制、過去の侵入事件を解説
NEWSポストセブン