CDCの調査報告をもとにレストランの図を作成。中央のテーブルAにいるXさん(A1)によって、エアコンの風の通り道にいたA、B、Cテーブルの9人が集団感染したとされる
それまで新型コロナ対策では、他人の咳やくしゃみなどによる飛沫感染に注意し、2mほどの社会的距離を取ることが推奨されてきた。というのも、呼吸飛沫は口から出てもすぐに落下するので、1m未満の短い距離しか移動しないとされるからだ。
米ボストン在住の内科医・大西睦子さんが説明する。
「この調査ではウイルス感染の原因が気流の方向であると結論づけられました。実際、Xさんから4.5mも離れていた客が感染していることから、エアコンからの強い空気の流れにウイルスが運ばれたことが指摘されています」
「KISHI CLINICA FEMINA」院長の岸郁子さんは「換気の悪さ」に注目する。
「そのレストランのフロアに窓がなく、換気扇が1つしかなかったことが事実であるならば、その状況が感染拡大を招いた原因の1つである可能性は考えられます。換気可能な複数の窓や換気扇があり、空気の入れ換えをより積極的に行うことができたのであれば、感染被害をより抑えられていたのではないでしょうか」
誤解されがちだが、エアコンを運転しても換気はされない。エアコンは部屋の空気を吸い込み、温かくしたり冷たくしたりして部屋の空気を循環させる仕組みで、ほとんどのエアコンは換気できない。それどころか、エアコンがウイルスを「拡散」するのだ。
注意すべきはエアコンだけでない。クリスタル医科歯科クリニック内科院長の中島由美さんが指摘する。
「扇風機もエアコン同様、空気の流れを起こしてウイルスを拡散する恐れがあります」
◆イラスト/黒木督之
※女性セブン2020年6月11日号