ドーハ世界陸上では圧巻の走りを見せた寺田選手(時事通信フォト)
一方、フェンシングの三宅諒選手(29才)は独自の“哲学”でスポンサーとの契約を自ら解除した。2012年のロンドン五輪男子フルーレ団体で銀メダルを獲得した三宅選手は、東京五輪に出場するための選考試合の準備を重ねるさなかに、延期決定の知らせを受けた。
「練習ができるかどうかもわからず、来年もどうなるかわからない状況で、スポンサーにこれから先も支援だけをお願いするのは、自分にも苛烈なプレッシャーがかかるうえ、何よりも無責任に感じて嫌だと思ったんです。スポンサーからは『引き続き支援する』と言ってもらえましたが、自分の意向で契約を解除してもらいました」(三宅選手)
しかし無収入ではフェンシングが続けられない。そこで三宅選手が選んだのが、ウーバーイーツのアルバイトだ。
「冗談でもなんでもなく、本気です。実際、いまは毎日4~5件ほど配達しています。『ロンドン五輪で銀メダルを取ったのにプライドは?』と聞かれるけれど、もともと東京五輪に専念するために以前の勤務先を辞めさせてもらっています。ぼくにとっては、何もせずに東京五輪をただ観戦することの方がよほどプライドが許さないんです。お金のために競技をするのではなく、フェンシングのためにお金が必要だから働く。だからコロナが落ち着いて新しいスポンサーと契約するまではウーバーイーツを続けるつもりです」(三宅選手)
※女性セブン2020年6月11日号