「換気が悪く密閉された空間では、感染者から出た飛沫・飛沫核がエアコンの対流によって空気中を漂い、感染リスクを高めます。また家庭用のエアコンの多くは換気機能がついていないため、エアコン使用中でも定期的に2か所以上の窓を開けて換気するほうが望ましい」(田辺教授)
オフィスビルや大規模商業施設では、家庭用とは空調の種類が違うことにも注意したい。
これらの施設では、部屋やフロアごとに設置される家庭用のエアコンとは異なり、中央管理室などで空調を一括管理する「セントラル空調」というシステムを採用しているケースがある。しかしこのシステムは、ダクトを通じて建物内に空気を循環させるため、ウイルスを拡散させる恐れがあると指摘されている。
5月6日に中国で開かれた新型コロナ感染予防・管理に関する記者会見では、復旦大学付属華山病院感染科科長の張文宏氏が「セントラル空調は密閉型という特徴があり、感染者が出れば比較的大きなリスクをもたらす」と警鐘を鳴らしたと報じられた。
感染拡大当初に大規模クラスターが発生したダイヤモンド・プリンセス号も、セントラル空調で管理されており、密閉空間の船内で感染者が増加した要因になったと考えられている。前出・田辺教授はこう指摘する。
「日本のセントラル空調は法律で換気が義務づけられていますが、換気運転が止まってしまうと感染リスクを高める可能性があるため要注意です」
※週刊ポスト2020年6月12・19日号