一口に運動嫌いと言っても、試しに万歩計で測ると〈280歩〉しか歩かない日もあったという強者から、時々はジムに通い、食事も節制する人まで様々だが、ヨガやウォーキング、腹筋運動にしても、「効率のよいダイエットのための運動とは言えません」と中野氏はピシャリ。尻や太腿や背中等、〈大きな筋肉を鍛えたほうが基礎代謝量が上がり、痩せやすい体質〉になるといい、〈カロリーを消費し、きちんと疲れて、筋肉痛になる〉〈この3点が、運動になっているかいないかのポイント〉だと言う。
「よく『別に全身ムキムキになりたいわけじゃない』と言う人がいますが、なってから言おうよと思うくらい、運動をしないための言い訳ってバラエティ豊かなんですよ(笑い)。例えば『疲れるのは筋肉がないからです、筋肉を鍛えましょう』と私が言っても、『それが疲れるからイヤだ』とか『エステに行くからいい』とかね。体が疲れても脳が疲れても、『疲れた』と同じ表現を使いますが、実は脳の疲れは体を動かす方が取れるんですよ。
ただ、〈時間がない〉という常套句も皆さん言い訳だとわかって使っていて、話を聞くだけ聞けば『これではいけない』と意識を改めてくれる。大人ですから!」
〈電気で筋肉を動かすのは、筋肉をつけるための運動ではない〉、サウナもホットヨガも〈水分が出ただけで体脂肪は減っていない〉等々、私たちの誤解を著者は丁寧に解く。特に〈不便な時代に蓄えた“筋肉の貯金”〉がない40代以下は「60代で要介護」もありうると警告。毎日の筋トレこそが本人の健康や医療財政のためにも〈いちばん合理的な選択〉だと、中高年の5人に4人がロコモかその予備軍と目される現状を、本気で憂う。