「現代人は昔の人より筋肉の厚さも格段に劣りますが、実はアスリートの体にそれを一番感じます。成長期で運動量が多いケニアの子は足の腱が太くて丈夫ですが、日本の若者は『この練習量で故障?』と思うほど腱が細いし、アイドルの男のコの脚でも、女の子か老人みたいに細い。
特にコロナ流行以降は家から1歩も出なくても働けたり、飲み会までできるようになった。この状態は軽度の入院生活みたいなものです。2か月の外出自粛ともなると、大病したときも同然の活動低下です。しかも食事は病院食じゃないから、日常の食事で蓄積した内臓脂肪が今後しばらく経ってから悪さをするのも怖い。
だからせめて以前と同程度の活動量は確保してほしいし、その点では5章のCAさんがお友達から言われた言葉、〈年をとったらお金より、友達より、筋肉だよ〉は、まさに至言です!」
それこそ「健康のため」は〈動機として弱い〉という運動嫌いの意見にもめげず、その人なりのモチベーション探しを見届ける名伴走者・中野氏。〈筋肉があると生活が楽になる〉〈何歳からでも筋肉をつけられる〉といった言葉に励まされ、始めることは今日からでも可能だ。
【プロフィール】なかの・じぇーむず・しゅういち/1971年長野県生まれ。米国スポーツ医学会認定運動生理学士。トレーナーとして卓球の福原愛選手やバドミントンのフジカキ(藤井・垣岩)ペアらを顧客に持ち、伊達公子選手の現役復帰にも貢献。2014年からは青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。東京・神楽坂にある会員制パーソナルトレーニング施設で技術責任者を務める。著書に『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』等。178cm、72kg、O型。
◆構成/橋本紀子 撮影/黒石あみ
※週刊ポスト2020年6月12・19日号