今後、免疫パスポートが文字通り、世界中でパスポート(旅券)となる可能性もあるのだ。血液内科医の中村幸嗣さんが説明する。
「経済を回すうえで必要不可欠な海外への人員派遣や出張、海外旅行などで感染流行地域に渡ったり、逆にそこから帰国する際、近い将来、免疫パスポートの取得が求められることは充分あり得ます」
すでに合理的な思考を持つ欧州などでは、免疫パスポートの導入が進んでいる。
大規模な運休や減便が続く航空業界では、国際航空運送協会が5月19日、航空再開のための5原則を発表した。そこでは効率的な運航のため、免疫パスポートを柔軟に活用していくことが提唱された。
人口132万人の小国ながら、世界で最も進んだ国民データベースを構築し、電子政府化を進める欧州のエストニアでは官民挙げて免疫パスポートのテストを実施する。
「政府やホテルなどが、新型コロナに感染・回復した記録をデジタル免疫パスポートに記録し、安全な旅行や社員の職場復帰を判断するテストを行っています。テストが成功すれば、政府はデジタル免疫パスポートをEU加盟国に提供する考えです」(欧州在住ジャーナリスト)
高品質なセキュリティー製品の開発で知られるスイスの民間企業は、最新のブロックチェーン技術とQRコードを組み合わせた免疫パスポートの開発を進める。
「そのほかドイツ、イギリス、フランスという主要国でも免疫パスポートの開発が進んでいます。プライバシーの侵害や差別につながるとの懸念もありますが、現実的に必要との声も多い」(前出・欧州在住ジャーナリスト)
※女性セブン2020年6月18日号