しかし、総理大臣だけが舞い上がっても、コロナ自粛で最も被害を受けた国民の多くには、10万円給付金も、世界で最も手厚い助成金も、200万円の持続化給付金もまだ届いていない。コミュニケーション・トレーニングやPRセミナーを運営するグローコム代表の岡本純子氏が語る。
「今回のコロナ感染で最も頑張ったのは自粛に耐えた国民です。安倍総理はこれまでの会見で役人の作文である『感謝』という言葉は何度も使ったが、自分の言葉で国民に『ありがとう』とは1回も言ったことがない」
大きな危機においては、国民にとって総理大臣の発するひとことが“暗夜の一灯”だ。拙い言葉であっても誠意があれば安心につながり、「ありがとう」と励まされれば勇気もわく。
しかし、安倍首相の記者会見で国民の胸に響いた言葉が1つでもあっただろうか。言葉で国民に勇気を与えられない総理大臣に、「国民の生命と財産」を預けることなどできないのである。
※週刊ポスト2020年6月26日号