ライフ

危険な夏の脳卒中 手足のしびれ放置し半身不随になることも

夏の脳卒中に注意(写真/アフロ)

 60代男性のAさんに異変が現れたのは、蒸し暑い7月の深夜のことだった。自宅トイレで用を足した後、突然、左の手足に力が入らなくなったのだ。横になれば治まるだろうと思って妻を呼び、介助してもらいながら寝室に戻ると、そのまま横になった。妻からは救急車を呼ぼうかと提案されたが、痛みもないので大丈夫だろうと断ったという。しかしこの判断が間違いだった。

 翌朝、手足どころか体全体が動かない。慌てて救急車を呼んでもらい、病院で検査をしたところ、「脳梗塞」と診断された。発作から8時間ほど経っていたため症状が悪化。結局、完治は見込めず、いまも左半身不随のままだ──。

◆一度麻痺が出れば完治しにくい

 脳卒中は、脳の血管が詰まったり切れたりなどして発症する。血液が流れないと、障害が起きた先の神経細胞が死んでしまうため、体に麻痺が発生するのだ。特徴は、前述のAさんのケースのように突然発症すること。

 聖マリアンナ医科大学東横病院脳卒中センター副院長・脳卒中センター長の植田敏浩さんはこう話す。

「前触れもないので、ご本人もご家族も驚かれます。何年も前から症状があったり、数か月前からなんとなくおかしいといった場合は、脳卒中とは考えられません」

 脳卒中は「脳血管障害」「脳血管疾患」などとも呼ばれる。厚生労働省の『患者調査』によれば、2017年の脳血管疾患の患者数は111万5000人。2018年の脳血管疾患による死亡者数は10万8000人余りで、日本人の死因第4位に挙げられている(厚生労働省『人口動態調査』より)。

 脳卒中が怖いのは、後遺症が残ることだ。厚生労働省「国民生活基礎調査」によれば、65才以上の要介護者のうち、介護が必要になった主な原因の15.1%が脳血管疾患で、認知症(18.7%)に次いで多い(2016年調べ)。

「寝たきりにまでならなくても、脳卒中を起こした人の7割以上は、なんらかの後遺症が残ります。ダメージを受けた脳の場所や年齢などにもよりますが、一度麻痺が出たら、完全には元に戻りません。リハビリは、麻痺をゼロにするのではなく、残された機能を使ってできることを増やすのが主な目的になります」(植田さん・以下同)

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト