「総理は自分の口から言えないから」

和泉洋人・総理補佐官はプライベートが話題に(時事通信フォト)

大坪寛子・審議官は「公私混同」が報じられた(共同通信社)

 官邸官僚の権力を笠にきた乱脈ぶりをさらけ出したのがこのカップル、和泉洋人・総理補佐官と大坪寛子・審議官だろう。

 公務での海外出張中、2人は内扉でつながったコネクティングルームに宿泊するなど公私混同の“不倫旅行”などが報じられ、京都出張ではかき氷を「あ~ん」と食べさせながら、ノーベル賞学者の山中伸弥・京都大学教授の研究所を訪問してiPS細胞研究予算の打ち切りを宣言し、大坪氏は「私の一存でなんとでもなる」と恫喝した。

 一方の和泉氏は加計学園の獣医学部新設をめぐって、文科省の前川喜平・事務次官(当時)に「総理は自分の口から言えないから、私が代わって言う」と早く認可を出すように迫ったとされる(前川証言)。

 まさに政権の汚れ仕事を担う“隠密”のような存在であり、パートナーの大坪氏はさしずめ“くの一”といったところだ。

 その和泉氏は今井氏らとは人脈が違う。東大工学部から建設省(現・国土交通省)に入省した技術キャリア。第二次安倍政権発足と同時に「国土強靭化」担当の総理補佐官に抜擢される。

 安倍政権が官邸に「健康・医療戦略室」を新設すると、和泉氏は室長を兼務し、厚労省から参事官として出向していた大坪氏を内閣審議官室次長に引き上げた。

「和泉氏は各官庁に幅広い人脈があって、神出鬼没で加計学園から辺野古の米軍基地移設、東南アジアへのインフラ売り込みやコロナのクルーズ船対応まで多くの分野に口を出す。一連のスキャンダルの責任を取らせて解任説もあったが、政権の恥部を知るだけに官邸も首を切ることができなかったようです」(森氏)

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