杉田和博・官房副長官は「総理の守護神」(共同通信社)
北村滋・国家安全保障局長の異名は「官邸のアイヒマン」(時事通信フォト)
警察人脈も官邸で重用されてきた。霞が関官僚の頂点に立つ杉田和博・官房副長官と北村滋・国家安全保障局長だ。
「総理の守護神」と呼ばれる杉田氏は警察庁警備局長から内閣情報調査室長、初代の内閣情報官、内閣危機管理監を歴任した危機管理のプロで、退官後、「2008年に失意の時代の安倍氏とスキー旅行で親交を深め、第二次安倍政権の内閣官房副長官に抜擢された」(森氏)という人物だ。後に加計学園問題で官邸の介入を告発する前述の前川・文部科学事務次官を“出会い系バー通い”で注意した人物でもある。
北村氏と安倍氏との出会いは1989年。「北村氏が警察署長だった時に、順天堂病院に入院した安倍首相の父・晋太郎氏をなにかと気にかけた。その時、まだ秘書だった晋三氏と知り合った」(同前)
その後、警察庁総括審議官、内閣情報官を歴任し、特定秘密保護法の成立から北朝鮮外交まで安倍首相の“特命”で動いてきた。
杉田氏と北村氏の2人はインテリジェンス(諜報)のプロで、各省庁の情報を握って政権の危機管理を担ってきた。安倍政権がこれまでスキャンダルを乗り越えてきたのは彼らが目を光らせてきたからでもある。
北村氏は「官邸のアイヒマン」の異名がある。
ある者は官邸から官庁の頭越しに指示を出し、ある者は上役を怒鳴り上げ、またある者は情報に目を光らせ、“隠密”となって敵を恫喝する。
安倍首相に“忠誠”を誓う7人の官邸官僚が国民に牙を剥いたとき、この政権は坂道を転がり始めたのだ。
※週刊ポスト2020年7月3日号