ビジネス

在宅勤務恒久化で「痛勤電車」から解放、追随する企業は?

緊急事態宣言後の4月、利用客が少ないJR渋谷駅(時事通信フォト)

緊急事態宣言後の4月、利用客が少ないJR渋谷駅(時事通信フォト)

 2016年の東京都知事選で、小池百合子都知事が掲げた公約のひとつに「満員電車ゼロ」がある。残念ながら達成されない公約となってしまったが、あまりに辛い混雑ぶりに「痛勤電車」と皮肉を込めて呼ばれることもある大都市圏の通勤電車だが、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための緊急事態宣言下では、結果として解消された時期もあった。しかし、宣言が解除されてからは次第にもとの「痛勤電車」に戻りつつある。新しい生活様式が求められるなか、「3密」回避のためにも求められる過剰な混雑の緩和が解消される望みはあるのか、ライターの小川裕夫氏がレポートする。

 * * *
 今年3月半ばから感染拡大が深刻化した新型コロナウイルスは、これまで常識とされてきたさまざまな生活様式を大きく変貌させる引き金になった。

 ビジネス面では、多くの企業がリモートワークを相次いで導入。大半の仕事がオンラインへと切り替えられたことで、通勤の必要がなくなり鉄道の需要は減退した。ツイッターなどSNSでは、人が歩いていないオフェス街をはじめ東京駅や新宿駅の駅前の様子が次々にアップされた。また、誰も乗車していない山手線の車内なども続々とアップされ、コロナ禍によるリモートワーク切り替えが急速に進んでいたことを感じさせた。

 そもそも過密化を続けた東京は、朝夕の満員電車が社会問題にまで発展していた。通勤時間帯における満員電車の解消は、もはや鉄道会社の力だけで達成できる話ではない。

 コアな通勤時間帯を分散するフレックスタイム制の導入や土日の週休2日制だけではなく、柔軟に休暇をとれるなどの働き方改革が欠かせない。満員電車の解消は、鉄道会社とともに行政が取り組む課題でもあった。

 奇しくも、コロナ禍によって満員電車どころか人のいない通勤電車が現出。コロナを機に、リモートワークを進めればいずれ満員電車が消滅するとの観測も漂い始めた。

 しかし、緊急事態宣言が全面的に解除されると、街に人が少しずつ戻ってくるようになった。以前ほどではないにしても、日に日に通勤電車の混雑も元に戻りつつある。

 コロナ禍によって大幅な減収に苦しんでいた鉄道各社にとってありがたい話ではあるが、行政と鉄道会社は再び満員電車の解消という課題に向き合わなければならなくなった。

 日本で通勤を廃止してリモートワークを定着させることは無理なのか? ここ数か月にわたるコロナ禍で、そんな思いを強くしている人も少なくないだろう。

 そんな中、ニコニコ動画でお馴染みのドワンゴが在宅勤務の恒久化を発表。7月1日から原則として通勤を廃止した。

「ドワンゴは2月17日から在宅勤務体制づくりを進めていました。その一環として、電気代・通信費等手当の支給をするようになりました」と話すのは、ドワンゴ広報部の担当者だ。

 コロナが後押ししたことは間違いないが、ドワンゴは在宅勤務の恒久化をいきなり打ち出したわけではない。在宅勤務の恒久化を導入するにあたり、以前から在宅勤務・リモートワークの導入に取り組んでいた。

関連記事

トピックス

悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
3月末でNHKを退社し、フリーとなった中川安奈アナ(インスタグラムより)
《“元カレ写真並べる”が注目》元NHK中川安奈アナ、“送別会なし”に「NHK冷たい」の声も それでもNHKの判断が「賢明」と言えるテレビ業界のリスク事情
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン