一方、中国と結びつきが強い欧州諸国やオーストラリアなどは、経済力や軍事力を背景にした中国の高圧的な「戦狼(ウォーウルフ)外交」「最後通牒外交」に不信感を募らせているが、それでも貿易や経済支援で中国に依存している面が大きいため、一筋縄ではいかない状態が続いている。
日本は、そうした世界情勢を踏まえつつ、許容度が小さい習近平政権のやり方を冷静に分析し、対中外交の「最適解」を見つけていかねばならない。
トウ小平が残した課題は、それほど難解なのである。
●おおまえ・けんいち/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。現在、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊は『世界の潮流2020~21』。ほかに『日本の論点』シリーズ等、著書多数。
イラスト■井川泰年
※週刊ポスト2020年7月24日号