『トラとミケ こいしい日々』第16話「酷暑の候」より
ねこまきさんの作品と言えば、実写映画化された『ねことじいちゃん』が有名ですが、『トラとミケ』もこの雰囲気のまま実写化すれば、優しくなるニンゲンを増やせるのではないでしょうか(『きょうの猫村さん』が実写化された今ならできるはず)。
特に第2巻のラスト第24話までにいたるエピソードは、ノスタルジックな想いに浸りがちな年配(?)の読者だけでなく、老若男女問わず「トラとミケのいる町に住みたい」と感じるハッピーな締めですので、最後の一コマまでどうぞお楽しみに!
ちなみに当店は、可愛いネコの写真集や絵本、『吾輩は猫である』などの小説だけでなく、少しでもネコが出てくれば“猫本”として店頭に並べています。それは、幅広い“猫本”を通じてみなさんがネコと本を好きになり、いつも笑顔でいられるような本屋を目指しているから。
『トラとミケ』の編集者さんは、なぜか「これは猫本でしょうか」と不安そうでしたが、ネコしか出てこないので完全に猫本です。そして、この完全なる猫本は、お読みになったお客様を幸せにするだけでなく、どて屋の店主(ネコ)を見習って、本屋の店主(ニンゲン)にも「みんなが幸せな気持ちになれる店をつくりたい」と思わせる作品なのです。
【プロフィール】
◆安村正也/やすむら・まさや。1968年生まれ。2017年、東京・三軒茶屋に、猫と本とビールが楽しめる本屋「Cat’s Meow Books」をオープンした。
※女性セブン2020年7月30日・8月6日号