付属の共学化で女子の進学率上昇を狙う大学も(写真はイメージ)

生徒の多様性は尊重されるべきだろう(写真はイメージ)

 まっさきに考えられるのは、通知表の「行動の記録」を作成する際のデータ活用である。だとしたら、それはこのプリントを配った先生は、ふだんの生徒との関わりに乏しいのかもしれない。生徒一人一人をあまり把握していないから、評価に自信がなく、アンケートを実施した?

 プリント配布がいつされたのかはわからないので、通知表の作成目的かどうかは不明だが、もしそうだとしたらかなりお粗末な話だ。だって、これらの項目の大半は、普通に生徒を教えていれば自ずとその先生の記憶の中に残るものであるはずだから。

 【8】〈よく発表をしている人〉【9】〈授業を真剣に受けている人〉は授業の教壇に立っていれば把握していて当たり前だし、【2】~【7】の〈掃除を一生懸命している人〉〈日直の仕事を一生懸命している人〉〈給食当番を頑張っている人〉〈学級を明るく楽しくしてくれる人〉〈学級でリーダーシップをとれる人〉〈学級であいさつをしっかりしている人〉も、担任としてクラスに出入りしていれば、特別な観察力がなくてもわかる事柄である。なのに、生徒の声を集めなきゃ判断がつかないとしたら、悪いけど担任失格だ。

 【1】の〈友だちに親切な人〉だけは、担任といえども、そう簡単には把握できない。ただ、それをアンケートで知ろうとするのはいかがなものか。子供たちが裏でふざけて作る、クラスの人気者ランキングと変わらないものになっちゃうのではないか。

 この点は、他の全項目に渡ってもいえる。どうやらアンケートは宿題になっているようなのだが、そんなことをしたら、仲のいい者同士で「誰にしようか」会議がすぐに始まって、明らかに偏った結果が出るだろう。

 そうした「データ操作」をするのは、いまの若者が頻繁に使う用語の「陽キャ」集団である。逆に、「陰キャ」の子たちは、下手なことを書いて、それがバレて、「誰だ?こんなやつを推したのは?」と追及されるのを恐れ、空欄だらけにするかもしれない。

 そこまで荒んだクラスでなくても、個人主義的な傾向の強い「陰キャ」の生徒は、このアンケート自体に抵抗を覚える場合が多いはずだ。なぜ生徒同士が互いに優劣をつけなきゃいけないのだろうか、私は安易に誰かの名前なんか書きたくない、と(そう、このツイートをした女子中学生も、保健室登校の日が多いなど、繊細なタイプのようである)。

 たとえ匿名アンケートであれ、生徒に生徒を評価させるというのはそれだけ難しいし、デリケートであるべき試みだ。

 この担任の先生は、通知表データと関係なく、クラス運営をよりよくするために、参考データが欲しかったのかもしれない。だとしても、その扱いのデリケートさは変わらないし、ならば、このありきたりな項目で生徒を見るセンスはどうかと、また別の疑問になる。

 だって、これらはぜんぶ大人にとって扱いやすい「いい子」像ばかりでしょう。友達に親切で、共同作業に積極的で、明朗快活な頑張る子。なんだか、とっても昭和の価値観。

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