それらがもう無価値だとは思わないが、今の時代に求められている「目の付け所がみんなと違う人」「論理的に考えて発言する人」「自分と異なる意見にも耳を傾ける人」あたりがまったく入っていない。50年前に作られたものの使いまわしか、と言いたくなるほど、すべての評価項目が古臭い。もしかしたら、今の学校社会の人間評価基準は50年前と変わっていないのだろうか、という気分になる。
このアンケートを取ることで、直接そう言わずとも、先生が生徒に「あるべき生徒像」を示す効果がある。また、他の子の実名を書かせることで、「クラスメイトのことをもっとよく知りましょう」と教える意味合いも生じる。
しかし、その項目がいずれもこれだけ古臭くて凡庸だと、多くの生徒は「いい子」の一方的な押しつけだと感じるだろう。そして、こういう教育を繰り返すほど、世渡り上手な子は先生の前でだけ「いい子」を演じ、世渡り下手な子は埋没してしまうという、悪循環に陥ってしまう。結果、生徒の実像がますます先生の目では見えなくなる副作用もある。
最近よく指摘されるように、今の学校の先生は忙しい。教務以外のさまざまな雑務に負われ、生徒とじっくり向き合う時間がなかなか取れないとも聞く。そのせいでこんなアンケートが実施されたとしたら、ちょっと先生を責められない気もしてくる。だが、しかし、だったらこんな無意味なアンケートは即刻やめましょう、疑問に思った生徒は白紙提出でいいよ、と言いたい。