満員のスタジアムで熱狂的に応援するサポーターをみるのはしばらく難しそうだ(時事通信フォト)
「窮余の策」を「ファン増加」につなげることが重要
こうした試みは全て、「従来通り観客を入れることが難しい」ための代替的な処置であることに変わりはない。上記のような処置でも、完全な満足度を実現できていないのが実情だ。日本でも、Jリーグでは少数のファンをスタジアムへ入れる措置が始まり、プロ野球についても、7月10日より、5000人を上限に観客を入れる形へと移行している。
無観客試合が厳しい理由の1つは、「歓声」などの盛り上がりだけでなく、ビジネス上の観点もある。スタジアムに観客が入らないことになれば、スタジアムでの飲食やグッズ販売のビジネスも行えない。その分の収入が減ることは痛手だが、スタジアムの維持を考えた場合にも、現金収入があることは望ましい姿だ。その点、無観客では現状、カバーはできていない。いかにオンラインショッピングが充実してきても、「スタジアムで飲むビール」の代替は難しいし、応援グッズを買ってしまう高揚感は起きない。
一方で、オンラインによる応援には、圧倒的な「手軽さ」という価値がある。テクノロジーによってスタジアムにいくことの価値を幾らかでも実現できれば、より多くの人をファンとして集客しやすくなる。今は窮余の策だが、オンラインとオフラインが同居できる時期が来たときに、今の試行錯誤がプラスに働くことを期待したい。