国内

コロナで困窮したホストが特殊詐欺に流れて逮捕される背景

新型コロナウイルス感染拡大に伴い愛知県独自の「緊急事態宣言」が出された4月、名古屋の繁華街(時事通信フォト)

新型コロナウイルス感染拡大に伴い愛知県独自の「緊急事態宣言」が出された4月、名古屋の繁華街(時事通信フォト)

 かつて羽振りが良かった水商売の人たちが追い詰められている。テレビ出演などで人気者となったホストのローランドは、みずからが営業している店舗を閉店すると公表した。彼は困窮という状態とは無縁かもしれないが、ほとんどのホストたちが色々と崖っぷちにあることは間違いないだろう。休業を余儀なくされ収入を絶たれたホストたちが収入を得るために犯罪も辞さない状態にある実態を、ライターの森鷹久氏が、レポートする。

 * * *
 名古屋最大とされるキャバクラ店グループの幹部ら3人が、7月13日までに追送検された。県の休業要請期間中に13日間営業したにも関わらず「全て休業していた」と偽りの申告をし、名古屋市から50万円の休業協力金をだまし取った疑いが持たれているという。

「ぶっちゃけウチもパクられるんじゃないかと思いますよ……。お願いしていた税理士とも連絡つかなくなってるみたいですし」

 こう声を潜めるのは千葉県内のホストクラブ関係者(30代)。自らが幹部を務めるホストクラブでは、5月31日までの緊急事態下における自粛要請中、実質1日の休みもなく営業を続けた。その上で「休業協力金」も手に入れられるよう、表向き、店は休業しているかのように装っていた。

「正直、たくさんのクラスター(集団感染)が出た新宿・歌舞伎町や池袋のホストクラブも、ガンガン営業してましたしね。キャバは客が来ないから閉めているところが多く、首都圏から地方に出稼ぎする女の子も多かった。千葉では風俗店従業員の女性の感染も発覚し、ホスト界隈でも話題になりましたが、結局営業は続けていた。収入ないと困りますからね」(千葉県のホストクラブ関係者)

 千葉県においても、県の休業要請期間中の全てに協力しないと計40万円の協力金は手にできないとされている。が、同業他社の多くも名古屋のキャバクラグループ幹部と同様、虚偽の申告を堂々と行なっているというのだ。名古屋の件が発覚して以降、全ての事態を知った上で協力金申請などの対応を担っていた税理士とは、連絡がつかなくなったという。新宿・歌舞伎町のホストクラブ幹部も、もはや諦めたとばかりに肩を落とす。

「店舗は2つ、家賃はそれぞれ150万円かかる。これでも東京都の場合、休業協力金でもらえる金額は、店が二店以上あったとしても最大100万円です。要は、家賃の足しくらいにしかならないし、こっそり闇営業をしたところで売り上げは以前の三分の一以下。ホストでクラスターが発生し、世間の敵みたいな扱い受けて……。銀行も信金もホストには金を貸してくれないし、第二波が来ても、同じような補償しかなければ、店は即潰れます。仕事がなくなったホストたちは露頭に迷うでしょう」(歌舞伎町のホストクラブ関係者)

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン