この人物は、名古屋の件を受けても「逮捕されても(分かってやっているから)仕方ない」と言い切る。それほど困窮しているのだと隠すそぶりも見せず、さらに、すでに仕事がなくなっているホストたちの行く末をも心配する。…が、実はコトはすでに起きている。
「歌舞伎町のホストが、店が潰れて仕事が無くなったことから、特殊詐欺の受け子をして逮捕されました。また、休業要請期間中に店にこっそり客を呼び、100万円以上をぼったくっていたとして、ホストがすでに逮捕されています。元ホストが犯罪で捕まっても、自身がホストであったことを打ち明ける例は当然少ない。直近で特殊詐欺で検挙された人間の中には、元ホストが少なくない数いるのではないかとも言われています」(大手紙警視庁担当記者)
こうして書いてみてはいるが、責められるべきはホストだけ、と個人的には思っていない。筆者は以前、休業要請に応じないパチンコ店などを取材し、彼らが、50万円、100万円の休業協力金をもらうだけではどうしようもない、とういう実態をレポートしたが、ホストクラブに代表される「夜の街」の店々も同様だ。営業してナンボ、モノを売って100円1000円の利益を得るのではなく、数百万円を使って数千万円を得るというビジネスモデルである。
もちろん、こうした仕組みを理解できない人たちにとっては、彼ら、彼女らの存在そのものまでを否定したくなるだろう。ただ、それを言っちゃ「おしまい」であるし、そうした金の回し方をする人たちが一定数いてこその、日本経済だったという側面も忘れてはいけない。結局その点への救済が不十分だからこそ、職にあぶれたホストが犯罪に走るなど負のスパイラルを呼び込んでいる、その災いが一般市民にも影響を与えている現実を、もっとよく理解しておいたほうがよいだろう。