ビジネス

CECIL McBEE全店舗閉鎖は「ファッションの終焉」を象徴か

渋谷・道玄坂交差点にある渋谷109

渋谷・道玄坂交差点にあるSHIBUYA109

 少し前に放送が終わったドラマ『M 愛すべき人がいて』は浜崎あゆみがスターになるまでの事実をもとにしたフィクションだったが、背景である1990年代から2000年代のファッションや音楽も積極的にドラマに取り入れていたことも話題だった。当時の女の子たちにとって欠かせなかったのは、渋谷109にテナントを構えるギャルファッションブランド。元タレントでモデルの木下優樹菜さんもアルバイト店員をしていた場所だ。その代表格である『CECIL McBEE (セシルマクビー)』が全店舗を閉鎖、今後は通信販売に特化していくと発表された。ライターの森鷹久氏が、ギャルファッションブランドの栄枯盛衰、ファッションそのものが迎えている危機についてレポートする。

 * * *
 ギャル系ファッションブランド「セシルマクビー」が、2021年2月までに全店舗を閉鎖すると発表した。ティーン向けファッション誌編集者だった筆者にとって「セシル」の愛称で呼ばれる同ブランドの店舗閉鎖は隔世の感がある一方で「意外と長く持った方」と吐露するファッション関係者もいる。

 東急電鉄子会社が運営するファッションビル「SHIBUYA109」といえば、女性で知らない人はいないだろうティーンファッションの殿堂であった。とりわけ「ギャルファッション」ブームを牽引するブランドが多くテナントに入っていることから、ギャルの間では「マルキュー」と呼ばれ、そこで働く店員たちは「カリスマ」と称される憧れの場所だった。元タレントの木下優樹菜さんも、某人気店の店員を経て芸能界デビューしたことがよく知られている。そんな「マルキュー」の中で、長らく売り上げ、店舗面積ともにナンバーワンだったのが「セシルマクビー」である。

 当時のギャルブームにおいて、「セシル」は一斉を風靡していた国民的歌姫・浜崎あゆみも愛用している……といった話も聞こえてくるほどの人気ブランドだった。一口にギャルといっても好みのファッション傾向は様々だったが、「セシル」は金髪に黒肌の「黒ギャル」から、色白でセクシー路線の「白ギャル」と呼ばれる子まで、幅広いジャンルの女性から支持される稀有なブランドだった。雑誌の取材で、どんな地方へ行っても、その地域のファッションリーダー格であろう女子中高生が「セシル」のショップバッグを、これ見よがしに背負っているのを見かけるたびに、同ブランドが若い女性の「憧れ」になっていることを実感した。

「セシル」の運営は当時、現在とは異なる法人が運営していた。当時の運営関係者が振り返る。

「たしか、ショップ店員の時給で1000円を超えていたのはうちだけでした(笑)。それほど勢いがありましたし、ファッション雑誌さんに商品を貸し出す際にも、かなり口うるさく言っていました。ブランドイメージをとにかく大切にしていたんです」(関係者)

関連記事

トピックス

司忍組長も姿を見せた事始め式に密着した
《山口組「事始め」に異変》緊迫の恒例行事で「高山若頭の姿見えない…!」館内からは女性の声が聞こえ…納会では恒例のカラオケ大会も
NEWSポストセブン
M-1での復帰は見送りとなった松本(時事通信フォト)
《松本人志が出演見送りのM-1》今年の審査員は“中堅芸人”大量増へ 初選出された「注目の2人」
NEWSポストセブン
浩子被告の顔写真すら報じられていない
田村瑠奈被告(30)が抱えていた“身体改造”願望「スネークタンにしたい」「タトゥーを入れたい」母親の困惑【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
「好きな女性アナウンサーランキング2024」でTBS初の1位に輝いた田村真子アナ(田村真子のInstagramより)
《好きな女性アナにランクイン》田村真子、江藤愛の2トップに若手も続々成長!なぜTBS女性アナは令和に躍進したのか
NEWSポストセブン
原英莉花(時事通信フォト)
女子ゴルフ・原英莉花「米ツアー最終予選落ち」で来季は“マイナー”挑戦も 成否の鍵は「師匠・ジャンボ尾崎の宿題」
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
筒香が独占インタビューに応じ、日本復帰1年目を語った(撮影/藤岡雅樹)
「シーズン中は成績低迷で眠れず、食欲も減った」DeNA筒香嘉智が明かす“26年ぶり日本一”の舞台裏 「嫌われ者になることを恐れない強い組織になった」
NEWSポストセブン
陛下と共に、三笠宮さまと百合子さまの俳句集を読まれた雅子さま。「お孫さんのことをお詠みになったのかしら、かわいらしい句ですね」と話された(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
【61才の誕生日の決意】皇后雅子さま、また1つ歳を重ねられて「これからも国民の皆様の幸せを祈りながら…」 陛下と微笑む姿
女性セブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン