新型コロナウイルス感染拡大に関する緊急事態宣言解除を受け渋谷109も4月8日から5月末まで休館した(Sipa USA/時事通信フォト)

新型コロナウイルス感染拡大に関する緊急事態宣言を受け渋谷109も4月8日から5月末まで休館した(Sipa USA/時事通信フォト)

 この辺りから、日本のファッション市場、特にギャルファッション業界の勢いが目に見えて消えていった。ファッションで勝負するよりも、いかに安く作れるか、多く売れるかで物事が判断され始めたのである。

 時を同じくして海外発の安価な「ファストファッション」ブランドが注目され始めると、数年後には渋谷や原宿に日本旗揚店が続々オープン。高級ファッション誌もギャル雑誌も、こうしたブランドをこぞって取り上げ、日本国内でもファストファッションブームが巻き起こった。個性的で、世代を絞ったブランディングに特化し、かつてのギャルたちがこぞって身につけたファッションブランドは次々に倒れていった。現役スタイリスト・玉置なるみさん(仮名・40代)がいう。

「子供からお年寄りまでが安価でシンプルで、同じような服を着て、まるで制服みたいだなと思います。が、この流れには抗えない。ある程度機能的で安価なら、それさえ使っておけば、身につけておけば良いという雰囲気。ファッションという概念が消えかかっているような気さえする。無駄はどんどん削られ、遊びや余白が全く受け入れられない」

 玉置さんもまた、先細りするファッション業界に未来を感じられず、近く廃業する予定だという。筆者の周囲でも、アパレル関係者が続々業界から去り始めた。

 新型コロナウイルスの感染拡大による経済的打撃がとどめになったとはいえ、遅かれ早かれ訪れていたであろうこの事態。予想外だったのは、まだまだ生き残るはずだったファストファッション業界までもが甚大なダメージを受け、瀕死状態にあるという事だろうか。ファッションとはそのまま「余裕」であると思うが、世の中にファッションが求められない、必要とされていないように感じる今の有り様は、何を物語っているだろうか。

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン