国内

元文科事務次官前川喜平氏、コロナ禍の夜間中学の役割に期待

夜間中学の必要性を説く前川さんは現状の問題点も指摘する(撮影/浅野剛)

 何らかの事情で中学校に通うことができなかった人を受け入れ、夜に授業を実施するのが、夜間中学だ。国籍も年齢のバラバラな生徒たちが集まり、進路や生きがいを見つけ人生における大きな一歩を踏み出すために、「学び」を得ていく。

 元文部科学事務次官の前川喜平さんはコロナ禍においてますます夜間中学は重要な場所になると指摘する。

「コロナによる長期休校ののち再開される学校に行くのが苦痛という子供が多いはずで、2018年度に16万5000人だった不登校の児童・生徒がコロナ後に20万人を超える可能性があります。これからの夜間中学は、こうした子供らに学びの場を提供することも期待されます」(前川さん)

 昼間の学校にはなじめなかった不登校の子供が、夜間中学で勉強の楽しさを理解するということは多いという。

 東京都葛飾区の双葉中夜間学級で数学を教えている菊池和子さんは、「この環境が持つ“教育力”はすごい」と日々感嘆している。

「夜間中学に来るのは、家庭や生活に何らかの事情を抱えている生徒がほとんどです。そういう生徒は年齢や生活環境が似通った生徒が集まる昼間の学校では疎外感を持ちやすいですが、年齢も国籍もバラバラの夜間中学なら、背景をもった生徒が集まる。だからこそ、ここではさまざまな学びを経験できるのです」

 夜間中学にかかわる多くの人が口を揃えるのは、「多様性」がいかに人間を育てるかということだ。

 いじめにあって一度も中学に通わず卒業した生徒が、平均年齢69才のクラスに入って少しずつ心を開くこともあれば、いい加減な言動をする20代を90代がたしなめる――夜間中学にはこうしたエピソードが満載だ。

関連記事

トピックス

ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン