大相撲7月場所で掲げる「懸賞旗スタイルの告知旗」を発表する東京都の小池百合子知事(時事通信フォト)

大相撲7月場所で掲げる「懸賞旗スタイルの告知旗」を発表する東京都の小池百合子知事(時事通信フォト)

 東京都豊島区の飲食店では、さらに杜撰な方法によって「感染拡大防止徹底宣言ステッカー」が張り出されていた。同店の店長・原田亮一さん(仮名・30代)が声を潜める。

「先日、オーナーからこれを貼り出せと言われて手渡されたのがこのステッカー、というより紙ですね。虹色のモチーフと感染拡大防止中の文字、その下にうちの店の名前が入っています」(原田さん)

 原田さんの店は、スナックやガールズバー、カフェレストランなど数店を運営するオーナーの傘下にある。オーナーが店々をまわり、店長やスタッフに『掲示するように』と配っていたのが、件の「ステッカー」であった。ただ、原田さんに対策をした覚えはないという。

「いやあ、正直消毒液とか高いですよ。うちはスタッフも客も若いし、大丈夫なんじゃないかって。コロナって、若い奴がかかっても平気だと聞きましたし、老人の客はいないんで関係ないかなって。ステッカーは一応貼っていますけど、だれも気にしていません」(原田さん)

 なんら対策を取っていなくとも、むしろ現場のことをほぼ何も把握していない人であっても、簡単にステッカーの申請、掲示ができてしまうという、正直、穴しかない施策に見えるとしか言いようがない。さらに呆れる実態が聞こえてきた。

「知り合いのバーにも同じステッカーが貼ってありましたが、店の名前の部分が手書きでした。ホンモノは店名がしっかり印刷されているはずですからおかしいなと。聞くと、店名部分が空白のステッカーをカラーコピーしたものが配られたとかで、各々の店の名前を書いて店頭に張り出しているそうです」(原田さん)

 都の職員による見回りもあり、事によっては休業要請に対する協力金の支払いにも影響してくる、ともされているが、このように「やりたい放題」なのが現状のようだ。前出の中間さんが再度訴える。

「店を訪れる客も、この『ステッカー』を見るや否や、鼻で笑っていくようになりました。(対策を)やってない店とやっている店が同列に見られるのは本当に心外で、都にはしっかり見回りをしたり、制度を厳しくしてくれと言っていますが…」(原田さん)

 真面目にやっているものがバカを見る、という政策は、コロナ禍においてもう何度も見てきた光景である。マスクをせずに外出する人、密を積極的に作る人、都道府県をまたぐ不要不急の行動をとる人…、こうした人々の存在の陰には、多くの「真面目にやっている人」が存在する。前者の存在があるから、やっている人で不幸にもウイルスに感染してしまった時「対策をしていなかったのではないか」などと非難される事態になっている。

「ステッカー」の件に限らずではあるが、行政や国は、感染防止対策をやっている人とやっていない人に分けようとしたり、市民、国民の性善説的な感覚に丸投げするようなを政策が目立つ。まるで「私たちは言ったのに国民や市民がやってくれなかった」とでも言いたげな、無責任な姿勢である。「リーダーの不在」を痛感せざるを得ない日々が、あとどれくらい続くのか。

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