国内

河井夫妻初公判で実名晒された100人 地元有権者の怒りと侮蔑

河井夫妻は揃って無罪を主張(共同通信社)

 昨年7月の参院選広島選挙区を巡る巨額の買収事件の初公判が8月25日、東京地裁で開かれた。公職選挙法違反(買収・事前運動)の罪で起訴された前法相の衆院議員・河井克行被告(57才)と妻の参院議員・案里被告(46才)は、起訴内容を否認し無罪を主張している。だが今回、検察側が現金を受け取ったとされる地元の首長や議員らの実名を公表したことで、買収に応じた議員らは白日の下に晒された。事件に詳しいフリーライターの高橋芳仁さんが解説する。

 * * *
 昨年3月から8月にかけて、克行被告が案里被告に投票の取りまとめを依頼し、地元の首長や議員、後援会幹部、選挙スタッフなど100人に総額2900万円をばら撒いたとして起訴された今回の事件。このうち5人の170万円分については、案里被告も共謀したとして罪に問われている。

 検察側は「票の取りまとめを依頼する報酬としてお金を渡し、買収の意図があった」と主張し、両被告側は「直前の4月に行われた統一地方選の陣中見舞いや当選祝いであり、支持拡大が目的だった」と主張しており、新聞やテレビは、両者が真っ向から対立するガチンコの構図を伝えている。

 一方で、本来ならこの事件で重要なバイプレイヤーとなるべき地元議員らの存在は、これまで置き去りにされていた。だが、今回の初公判では、検察側から現金を供与された100人全員の氏名が公表されたことで、今までダンマリを決め込んでいた地元議員らは戦々恐々としているという。というのも、これまで両被告から金を受け取ったとカミングアウトしたのはごく少数。ほとんどが“ほっかむり”して議員バッジを着け、議席に居座り続けていたからだ。

 金を受け取った100人の中には元議員も含まれるが、現職の首長や議員などの公職に就いていたのは40人。検察側が公開した起訴状の別表によると、内訳は広島県内の首長2人、県議14人、市議21人、町議3人だ。このうち、現金を受け取ったとして辞職したのは首長2人を含め5人だけ。他にも新聞やテレビの取材でお金を受け取ったことを認めた議員はいるが、大多数が「ノーコメント」や取材拒否を貫き通していた。地元有権者らは、「金を貰ったのは一体誰だ?」と疑心暗鬼になっていたという。

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』(清談社Publico)を執筆した作家・樋口毅宏氏
「元部下として本にした。それ自体が罪滅ぼしなんです」…雑誌『BUBKA』を生み出した男の「モラハラ・セクハラ」まみれの“負の爪痕”
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト