国内

若者が持続化給付金詐欺グループに取り込まれてしまう事情

新型コロナウイルスの「持続化給付金」で申請代行をアピールする業者のツイッターへの投稿(時事通信フォト)

新型コロナウイルスの「持続化給付金」で申請代行をアピールする業者のツイッターへの投稿(時事通信フォト)

 新型コロナウイルスの影響で収入が減った中小企業や個人事業者などを支援する、「持続化給付金」。この持続化給付金に対して不正受給申請が多発、逮捕者も続出している。その裏には、SNSでの代行申請への勧誘や、不正申請の指南グループの暗躍があるという。SNSの最新事情と犯罪被害に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんが、持続化給付金不正受給申請に、なぜ大学生やフリーターが加わってしまいやすいのかについて解説する。

 * * *
 緊急事態宣言がまだ解除されていなかったころ、20代の会社員AさんのもとにSNS経由で知らない業者から持続化給付金申請の誘いが届いた。「住んでいる地区の税務署へ行き電子申告の登録を行い、電話で電子申請の利用者識別番号と振込先口座を伝えてほしい。口座に持続化給付金100万円が振り込まれたら、80万円を手数料として振り込んでもらう。残りの20万円が報酬となる」と言われた。「時給の良い割の良いバイト。すぐに定員がいっぱいになるので最後のチャンス」と畳みかけられ、正直なところ心が揺らいだが、あまりにうますぎる話に、逆に怪しいと感じて断った。

 同じ頃に大学生Bさんは、友人からLINEで「無職でももらえるから大丈夫」と持続化給付金の申請に誘われた。なぜもらえるのかと思ったけれど、バイトのシフトが激減して収入が減って生活が苦しかったし、「行政書士がやっているから合法で問題ない」と言われて、大丈夫なのかと思い始めた。だがLINEで身分証や口座番号などの書類を送ることを求められ、ふと心配になって同居の親に相談し、おかしいことに気づいた。

 AさんやBさんは誘われただけで実際には申請をしなかったが、このようなケースは非常に多い。そして、資格がないのに申請をして給付金を振り込ませ、公金を詐取したとして逮捕される人が続出している。

 7月末、山梨県警は埼玉県在住の19歳の大学生を詐欺の疑いで逮捕した。大学生は衣服の卸売業者を営んでいるという虚偽の確定申告をし、100万円を自分の口座に振り込ませていた。根拠となる大学生の事業は、昨年1年間で120万円の収入があったが、架空の経費により税額はゼロとしていたが、もちろん架空の話だ。逮捕されても未成年なので実名報道はされないが、持続化給付金にまつわる詐欺の逮捕で全国第一例目となってしまった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《ヤクザの“ドン”の葬儀》六代目山口組・司忍組長や「分裂抗争キーマン」ら大物ヤクザが稲川会・清田総裁の弔問に…「暴対法下の組葬のリアル」
NEWSポストセブン
1970~1990年代にかけてワイドショーで活躍した東海林さんは、御年90歳
《主人じゃなかったら“リポーターの東海林のり子”はいなかった》7年前に看取った夫「定年後に患ったアルコール依存症の闘病生活」子どものお弁当作りや家事を支えてくれて
NEWSポストセブン
テンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《キョンシーブーム『幽幻道士』美少女子役テンテンの現在》7歳で挑んだ「チビクロとのキスシーン」の本音、キョンシーの“棺”が寝床だった過酷撮影
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
中川翔子インスタグラム@shoko55mmtsより。4月に行われた「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート2025」には10周年を皆勤賞で参加し、ラプンツェルの『自由への扉』など歌った。
【速報・中川翔子が独立&妊娠発表】 “レベル40”のバースデーライブ直前で発表となった理由
NEWSポストセブン
奈良公園で盗撮したのではないかと問題視されている写真(左)と、盗撮トラブルで“写真撮影禁止”を決断したある有名神社(左・SNSより、右・公式SNSより)
《観光地で相次ぐ“盗撮”問題》奈良・シカの次は大阪・今宮戎神社 “福娘盗撮トラブル”に苦渋の「敷地内で人物の撮影一切禁止」を決断 神社側は「ご奉仕行為の妨げとなる」
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
「仕事から帰ると家が空っぽに…」大木凡人さんが明かした13歳年下妻との“熟年離婚、部屋に残されていた1通の“手紙”
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
《“美女すぎる”でバズった下北沢の女子大生社長(20)》「お金、好きです」上京1年目で両親から借金して起業『ザ・ノンフィクション』に出演して「印象悪いよ」と言われたワケ
NEWSポストセブン
花の井役を演じる小芝風花(NHKホームページより)
“清純派女優”小芝風花が大河『べらぼう』で“妖艶な遊女”役を好演 中国在住の実父に「異国まで届く評判」聞いた
NEWSポストセブン
第一子を出産した真美子さんと大谷
《デコピンと「ゆったり服」でお出かけ》真美子さん、大谷翔平が明かした「病院通い」に心配の声も…出産直前に見られていた「ポルシェで元気そうな外出」
NEWSポストセブン