国際情報

国際海洋法裁判所の裁判官に中国人当選 米政府が激しく反発

米中対立が鮮明に

 ニューヨークの国連本部で8月24日、国際海洋法裁判所の裁判官選挙が行われ、中国政府が推薦した段潔竜・駐ハンガリー中国大使ら7人の裁判官が当選した。段氏の立候補については、米国務省のデービッド・スティルウェル国務次官補(東アジア・太平洋担当)が7月の段階で、「中国は南シナ海などで多くの国々と領海問題を抱えており、中国の代表が裁判官になるのは、放火犯が消防士になるようなものだ」などと述べて、段氏の立候補に強く反対していた。

 米政府系メディア「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」は選挙が行われた24日について、「この日の選挙は極めて敏感な時期に行われた。なぜならば、中国は南シナ海の海南島沖合の海域で大規模な実弾軍事練習を行ったほか、黄海や渤海でも同様の海軍による軍事演習を行ったからだ」などと伝えた。

 そのうえで、VOAは「これは台湾を包囲する攻撃陣形であり、台湾や台湾を支持する米国を威嚇する目的がある」などと指摘するなど、批判的に報じている。

 また、ポンペオ米国務長官も7月、「中国の南シナ海における領有の主張は違法である」などと強調。

 中国は8月、米政府の高官としては米台断交後、最もハイレベルとなるアザー厚生長官が台湾を訪問したことについて、強く反発しており、台湾周辺海域などでの軍事演習の実施を発表するなど、米中双方は非難の応酬を繰り返していた。

 このようななかで、国際海洋法裁判所の裁判官選挙が行われただけに、米政府は各国政府に働きかけて、段氏の当選を阻むための工作を行ったと伝えられていた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン