ライフ

85才認知症女性 愛犬への募る思いで撮影できた感動の1枚

愛犬への募る思いが叶えた感動のシャッターチャンス(写真はイメージ)

 認知症の母(85才)を支える立場である『女性セブン』のN記者(56才)が、介護の日々の裏側を綴る。今回は、写真にまつわるエピソードだ。

 * * *
 生前、父がケータイでいちばん楽しんでいた機能は「カメラ」かもしれない。かわいがっていた愛犬モモちゃんの写真がたくさん残っていたが、どれもピントがずれたり半分しか写っていなかったり。決定的瞬間を捉えるのは、なかなか難しい。

「かわいい!」と思った瞬間に撮りたいけれど…

 7年前に亡くなった父のケータイには、驚くほどたくさんの写真が残っていた。父もおそらく認知症で、勇んで買ったケータイもなかなか使いこなせずに苦戦していた。日がな一日ケータイをいじって研究していたのだろう。時々おかしなメールが届いたりもしていた。

 なかでも父を夢中にしたのはカメラ機能。試し撮りの格好の被写体は愛犬の“モモちゃん”だった。年を取ってから飼い始めたので、まさに“目に入れても痛くない”かわいがりよう。モモちゃんが何をしても、どんな表情でもいとおしいのだ。

 しかしながら、父のケータイ撮影の腕前はイマイチ。ピンボケやモモちゃんが半分画面から外れているものもある。撮ろうと思って慌ててあちこち押した結果だろう。ただ、気持ちは伝わってくる。「いまこの瞬間を残したい!」と、夢中でシャッターを押したのだな…と。

 ふと古いアルバムにあった母が若い頃の写真を思い出した。もちろんモノクロである。何か面白いことがあったのか、両手で口を押さえて大笑いし、ものすごくブレている。私が生まれる前の新婚時代に父が撮ったものだ。

 昔は「なぜこんなブレブレ写真を取ってあるんだろう」と思ったものだが、そうか、この瞬間を残したかったのだ。きっとモモちゃんにレンズを向けたときのようにキュンとしたのだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

広末涼子(時事通信フォト)
《時速180キロで暴走…》広末涼子の“2026年版カレンダー”は実現するのか “気が引けて”一度は制作を断念 最近はグループチャットに頻繁に“降臨”も
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さまの墓を参拝された天皇皇后両陛下(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《すっごいステキの声も》皇后雅子さま、哀悼のお気持ちがうかがえるお墓参りコーデ 漆黒の宝石「ジェット」でシックに
NEWSポストセブン
前橋市長選挙への立候補を表明する小川晶前市長(時事通信フォト)
〈支援者からのアツい期待に応えるために…〉“ラブホ通い詰め”小川晶氏の前橋市長返り咲きへの“ストーリーづくり”、小川氏が直撃に見せた“印象的な一瞬の表情”
NEWSポストセブン
熱愛が報じられた新木優子と元Hey!Say!JUMPメンバーの中島裕翔
《20歳年上女優との交際中に…》中島裕翔、新木優子との共演直後に“肉食7連泊愛”の過去 その後に変化していた恋愛観
NEWSポストセブン
金を稼ぎたい、モテたい、強くなりたい…“関節技の鬼” 藤原組長が語る「個性を磨いた新日本道場の凄み」《長州力が不器用さを個性に変えられたワケ》
金を稼ぎたい、モテたい、強くなりたい…“関節技の鬼” 藤原組長が語る「個性を磨いた新日本道場の凄み」《長州力が不器用さを個性に変えられたワケ》
NEWSポストセブン
記者会見に臨んだ国分太一(時事通信フォト)
《長期間のビジネスホテル生活》国分太一の“孤独な戦い”を支えていた「妻との通話」「コンビニ徒歩30秒」
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(EPA=時事)
《“勝者と寝る”過激ゲームか》カメラ数台、USBメモリ、ジェルも押収…金髪美女インフルエンサー(26)が“性的コンテンツ制作”で逮捕されなかった背景【バリ島から国外追放】
NEWSポストセブン
「鴨猟」と「鴨場接待」に臨まれた天皇皇后両陛下の長女・愛子さま
(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《ハプニングに「愛子さまも鴨も可愛い」》愛子さま、親しみのあるチェックとダークブラウンのセットアップで各国大使らをもてなす
NEWSポストセブン
SKY-HIが文書で寄せた回答とは(BMSGの公式HPより)
〈SKY-HIこと日高光啓氏の回答全文〉「猛省しております」未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し、自身のバースデーライブ前夜にも24時過ぎに来宅促すメッセージ
週刊ポスト
今年2月に直腸がんが見つかり10ヶ月に及ぶ闘病生活を語ったラモス瑠偉氏
《直腸がんステージ3を初告白》ラモス瑠偉が明かす体重20キロ減の壮絶闘病10カ月 “7時間30分”命懸けの大手術…昨年末に起きていた体の異変
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《独占スクープ》敏腕プロデューサー・SKY-HIが「未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し」、本人は「軽率で誤解を招く行動」と回答【NHK紅白歌合戦に出場予定の所属グループも】
週刊ポスト
ヴァージニア・ジュフリー氏と、アンドルー王子(時事通信フォト)
《“泡風呂で笑顔”の写真に「不気味」…》10代の女性らが搾取されたエプスタイン事件の「写真公開」、米メディアはどう報じたか 「犯罪の証拠ではない」と冷静な視点も
NEWSポストセブン