芸能

世良公則『太陽にほえろ!』でわざと下手に鼻歌を歌った理由

現在はソロで音楽活動を行う世良公則

 今も昔も人気を博している刑事ドラマ。昭和時代では、『西部警察』や『太陽にほえろ!』など、名ドラマが数多く誕生したが、そこに出ていた俳優たちは当時、どんな思いで刑事を演じていたのか。

『太陽にほえろ!』で、常に松葉杖をついていたり、包帯を巻いていたりする、傷だらけの若手刑事・ボギーこと春日部一を演じたのは、ロックミュージシャンとして一世を風靡していた世良公則だ。そんな世良に当時を振り返ってもらった。

 * * *
 ぼくが登場する前の刑事役といえば、優等生タイプが多かったんです。そして当時のぼくもまた、ロックバンドのボーカリストとして、スマートなイメージでステージに立っていました。

 でも、そういったカッコいいイメージで刑事を演じては、意外性がないと思ったんですよね。そこでプロデューサーに“おっちょこちょいで情けないんだけど憎めない、三枚目な刑事役をやりたい”と提案したんです。普段のぼくのイメージを、このドラマでどこまで消せるかを最大のテーマにしたんです。

 だから、居酒屋から出てきて鼻歌を歌うシーンがあっても、わざと下手に歌ったり、犯人を追いかけている最中も、途中でへたばってしまうようなキャラを提案しました。殉職するシーンでもボギーらしさを考えましたね。歴代の刑事たちのように、誰かを守ってカッコよく死ぬのではなく、道を歩いているときに突如刺されてあっけなく死ぬ方がボギーらしいな、と。

 このドラマでは、役柄についてプロデューサーやほかの俳優たちと話し合い、一緒に作り上げることができたし、役者の希望やアドリブを受け入れてもらえる柔軟性があったんです。

 現場も大らかな雰囲気でした。石原裕次郎さんがとにかく素敵なかたで、あるとき、“レコーディングが終わったらレコードを持って来いよな”と言われ、後日持っていくと、“おれも歌を歌ってたんだよ”と、ご自分のレコードと交換してくださったこともありました。ボギー役だけでなく、音楽活動も認めてくださったのがうれしかったです。

※女性セブン2020年9月17日号

関連記事

トピックス

野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
8月20日・神戸市のマンションで女性が刺殺される事件が発生した(右/時事通信フォト)
《神戸市・24歳女性刺殺》「エレベーターの前に血溜まり、女性の靴が片方だけ…」オートロックを突破し数分で逃走、片山恵さん(24)を襲った悲劇の“緊迫の一部始終”
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
決勝の相手は智弁和歌山。奇しくも当時のキャプテンは中谷仁で、現在、母校の監督をしている点でも両者は共通する
1997年夏の甲子園で820球を投げた平安・川口知哉 プロ入り後の不調について「あの夏の代償はまったくなかった。自分に実力がなかっただけ」
週刊ポスト
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
【観光客が熊に餌を…】羅臼岳クマ事故でべテランハンターが指摘する“過酷すぎる駆除活動”「日当8000円、労災もなし、人のためでも限界」
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン