特定継続的役務が解除されたときは、関連商品の売買契約も同様に解除できます。解除されると、業者(販売主体が別であれば当該販売業者)には、商品を引き取り、受領済みの代金があれば返金する義務が生じます。
ところが、関連商品の解除には例外があり、使用や費消で価値が減少する一定の関連商品の場合、その商品が一部使用や費消されたときには解除できないとしています。エステの場合、化粧品はこの消耗品に指定されています。ただし、法定書面に解除不可を明記するのが条件です。
したがって、エステを解除したときに化粧品が未使用の状態であれば、その売買も解除して代金の返金を請求できます。しかし、一部使用されていた場合には、法定書面に記載されていれば解除できません。
ただし、さらに例外があります。商品の費消があっても、業者がサービスを受ける客に使わせた場合であれば、原則通り解除できます。
ご質問の場合、化粧品の封を切ってもいない状態であれば言うまでもありませんが、使用があってもエステ業者の指示によって費消された場合であるのに、化粧品の代金の返金をしないとすれば、業者は特定商取引法に違反している可能性があります。
業者の対応に納得できない場合は、国民生活センターや全国の消費者センターに相談されるとよいでしょう。
【プロフィール】
弁護士・竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2020年9月17日号