芸能

本郷奏多はかぶり物が似合う俳優 大河では烏帽子姿がハマる

大河での烏帽子姿がハマっている本郷奏多

 放送が再開して再び話題が集まるNHK大河ドラマ『麒麟がくる』。存在感ある俳優が多数出演しているが、本郷奏多(29才)も注目を集める1人だ。彼は、「被り物が似合う」俳優だという。コラムニストで時代劇研究家のペリー荻野さんが解説する。

* * *
 ついに烏帽子を被った!

『麒麟がくる』で、若き公家で関白という高い地位にいる近衛前久を演じる本郷奏多を見て、そう思ったファンも多いに違いない。本郷といえば、『GANTZ』『進撃の巨人』『鋼の錬金術師』など多くのマンガ原作の実写版映画・ドラマ出演で知られるが、私が知る限り、彼ほどいろいろなものを被った若手俳優はいない。

 2006年の映画『テニスの王子様』の越前リョーマ役では白いキャップがまぶしかった。近年の作品では、映画『キングダム』の秦国王の弟・成蟜役も印象的。口をゆがめて不敵な笑いを浮かべつつ、謀反を起こす成蟜の頭には、いかにも高貴な存在と思える黒い六角形の被り物が。

 また、腕立て、遠泳とビシビシと厳しい訓練を受けつつ士官を目指す若者たちの青春ドラマ『あおざくら 防衛大学校物語』の主人公・近藤勇美役では、きりっとした制帽やカーキ色の作業帽、今夏放送の『大江戸もののけ物語』の妖怪あまのじゃく役では、額から頭に火焔土器の破片を被るという異色の姿も見せている。

 そして、いよいよ烏帽子である。思えば、烏帽子は多くの二枚目俳優の新たな魅力を引き出すのに役立ってきた。古くは『源氏物語』で光源氏を演じた沢田研二、東山紀之、生田斗真、『陰陽師』で安倍晴明を演じた野村萬斎、佐々木蔵之介などなど、今年は『いいね!光源氏くん』の光源氏役の千葉雄大やそのライバル中将の桐山漣もいい烏帽子っぷりだった。

 烏帽子の利点は、被っただけでどこか浮世離れして見えること。聞けば、本郷本人も排気ガスや人の呼気が嫌で外に出るのが好きではないという。烏帽子ボーイにぴったりだ。ただ、前久は、和歌や連歌に秀でる文化人でありながら、屋敷で優雅にまったりというよりはどんどん外に出る行動派。

『麒麟がくる』第22回では、改元についてぐだぐだ文句を言う将軍・足利義輝(向井理)の館に乗り込んで「言葉が過ぎるぞ!」と怒り、続いて大和の松永久秀(吉田鋼太郎)を直撃して、久秀の息子が将軍を亡き者にしようとしているとウワサがあると詰め寄った。

 烏帽子ではなく、冠をつけて威厳を感じさせる前久は冷たい目だ。一方で、近衛家で姉弟のように育ち、彼を「さき様」と呼ぶ伊呂波太夫(尾野真千子)を訪問した際には、彼女におしめを替えてもらったから「今も頭が上がらぬ」と子供のような顔も見せる。

 変わり者貴族といわれる「さき様」は、今後の『麒麟がくる』のキーマンのひとりにもなる。ほどなく勃発する「足利義輝暗殺」という大事件。前久はその首謀者たちと関わることになる。さらには次の将軍を誰にするかで、覚慶(のちの足利義昭・滝藤賢一)や織田信長(染谷将太)、明智光秀(長谷川博己)らと対立!? なのに後に信長と仲良くなっちゃう!? 

 これまで戦国を舞台にした大河ドラマでもあまり描かれることがなかった近衛前久たちの人柄や動きが描かれるのも『麒麟がくる』の特長のひとつ。伊呂波太夫からは「勝負事に向いてない」「弱いのに負けず嫌い」と言われた烏帽子さき様の動き、注目する価値アリです。

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン